研究テーマ

1.都市と建築の関係性

 都市の中にある建築に身をおく時、我々はどれほど都市を意識しているだろか。ライフスタイルが刻々と変わる中で、すでに我々は無意識の内に都市を生活の一部として捕えながらもその一方で都市からの離脱を建築に求める一面がある。しかし、むしろ積極的に都市を建築と関係ずける事で建築のさらなる広がりや可能性を見出す事は出来ないだろうか。

2.形態とシステムの統合

 形態をデザインするのではなくシステムそのものをデザインする。形態のデザインはそのシステムからの要求であり結果にすぎない。つまりシステムの明確化が本質であり全体構成を方向付けるものとなり、具体的形態表現が導かれるのである。更には建築が形態表現から解き放されるものとなる。

3.社会的問題と建築の関係性

 個人主義や技術革新または、経済至上主義の中で人間として何を得、何を失ってしまったのか。社会問題化している高齢化や家庭問題(家庭内暴力、家庭崩壊等)に建築がどう貢献できるか、単に物理的な解決方法のみならず、精神面として「建築」だからこそ出来る「人間らしさ」や「家族の本質」の再発見や再構築を考えていきたい。

4.ホーム・アーキテクト制の提唱

 医療界では1975年以降、アメリカでホームドクター制が普及され、すでに5万人以上の医師が家庭医学専門医として活躍していると言われる。かかりつけの医者という昔からある概念だが、更に制度化され、家庭内で起きる病気の対策や健康管理を目的として行われている。日本における現状は本題からずれるので割愛するが、建築における相談医的な存在があってもいいのではないだろうか。建築業界はあまりにも閉鎖的であり細分化れ、エンドユーザーは「言われるがまま」というのが現状である。ある企業の営利目的の為の「お客様相談窓口」ではなく、社会的に中立的な立場で「判断基準を何におき、どう対応すべきか」、気軽に相談できるホームアーキテクト制を提唱する。

5.工業化住宅(プレハブ)の可能性

 現在、特に「住宅建築」の社会的普及状況は『我々の様な建築家・設計事務所が一から関わる住宅』と、『建売りを含め、住宅メーカー等が供給する商品化又は工業化住宅』の二極化と言える。建築家・設計事務所は、住宅メーカー等が供給するこの『商品化又は工業化住宅』を横目で冷やかに見ながら、「空間性を伴う建築」として認知するに値しないと考えている傾向がある。しかし、好むと好まないに関わらずこの「二極化」は今後も、さらにはっきりとした形で続くだろうと予測される。我々、建築家・設計事務所はこの現実を今までの様に冷やかに見て見ぬふりをせず、「空間性を伴う商品化又は工業化住宅」を造り出すべく更なる努力をしなければいけない責任があり、又その時期にさしかかっているのではないだろうか。確かに過去にも、ある大手住宅メーカーが著名な某建築家を起用し、空間性豊かな商品化住宅の開発に取組んでいると、ある建築専門雑誌に取上げられていた事がある。携っていないのではっきりしたことは明言できないが、その後のその住宅メーカーの街並に並ぶ供給商品を拝見させて頂き、あまりその成果が読み取れないと感ずるのは私だけだろうか?建築家の発想を企業側の発想にありがちな顧客獲得の為の「撒き餌」として使われていたら、これ程悲しく空しいことはない。

 これからの「商品化又は工業化住宅」において、今後更に進めなくてはならない事は企業の収益の為のみでは無く、発想の原点を『企業側から顧客側へ』シフトしたものでなければならないと考える。つまり、『顧客の為の徹底的なローコスト化により必要とされる部分は徹底的にプレハブ化をし、デザイン面や伝統的な職人技が必要とされる部分、或いはそれによる豊かな空間性は今以上に大切にすること』、この『顧客の為の新しい二極化』が必要ではないだろうか。→<Works/工業化の為の住宅計画案>


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