村山英和の「フットボールを考える」


第3回 シトロンボウル観戦(2000/12/10)


 12月10日,今日は東と西で(もしくは北と南という表現が正しいのかもしれない)まずは,東北の地では,関東2位の日体大と東北,北海道地区代表の東北大が対戦そして,博多の森では関西2位の京都大と我が母校九州大が対戦する。それぞれのゲームにチームそしてファンや関係者の思いが入っていると思うが,今回はどうしても日体大vs東北大の試合が観にいきたくなる。

 その経緯は,東北大OBでかつオクトーバーベアーズOBの末永の掲示板への書き込みである。5年ぶりにパインボウルに勝利したという内容だった。東北大は間違いなく,地方でフットボールをするものにとっての目標であり,かつて行われた地区王座決定戦では,広島以西の西日本代表はその高い壁を打ち破れずにいた。そして,現在の制度に移行して4年目、かつての北日本の雄,東北大も勝てなくなっていた。

 今回5年ぶりのパインボウル勝利,そして関東準優勝校とシトロンボウルでの対戦。今の東北大の選手に地区王座決定戦で九大とやった事を知っている選手もいなければ,シトロンボウルの経験もない。故に関東1部リーグのチームの秋の本当の姿を知るものはいない。別に人の為に何かをやる事が好きでもない俺が,何故かそのときだけは東北大に協力したい衝動にかられる。

 そして,関東準決勝,決勝と観にいき相手は日体大と決定した。関東準決勝,決勝の結果を踏まえ,日体大についての情報を末永に送る。普通のひとはそこで終わるのだが,そこはアメフト馬鹿たる所以,どうしても観にいきたくなる。一言断っておくが,別にキムタクの弟(日体大#45木村俊作)を見に行きたくて行ったわけでもない。

 そして,車で仙台へ・・・
場所は仙台スタジアム。博多の森の球技場のように球技をする事を目的としたスタジアムで観戦しやすいという印象を受ける。末永と会う。やつは学連の仕事で大変そうだったが,『絶対に勝てるチャンスはある』その言葉だけは力強かった。

 セレモニーが終わり,いよいよキックオフ。レフェリーは東北大のリターンを示す。東北大は最初のプレーをいきなりファンブル。それをリカバーされ,1プレーであっさり先制点を許す。しかし,東北大はここからこの日の為に準備したスペシャルプレーを織り交ぜ,反撃を開始。まずはFGで3点を返すと,続く攻撃でパスを通し逆転のTDを奪い返す。日体大もその後,あっさりTD2本を追加するが,21―10となった直後のキックオフリターンで東北大リターナーがビッグリターンを見せる。その攻撃をQB#7喜田が左サイドライン際を駆け抜け21−17と追い上げをみせ前半終了する。いける。絶対にいける。でも心配なのは15分QTRであるが故の緊張感の持続。それさえ持続させれば勝つチャンスはある。

 そして後半,日体大のリターンで試合は再開。直後の日体大の攻撃を東北大守備はインターセプトし敵陣で攻撃権を奪い取る。そしてこの攻撃で最初のプレーはその日コンスタントなゲインをしていたダイブで9ヤード前進。残る2nd down 1。ここで飽くまでも私見であるがこの試合を決定したといっても過言ではないプレーが発生する。その攻撃で東北大の選択したプレーコールはプレーアクションパス。これを日体大DBがインターセプト。確かに,1本遊べるという点では別にそのコール自体は悪くないと思うし批判するつもりも毛頭ない。しかし,このプレーを境に明らかに東北大守備は破綻をきたしていった。日体大RB#34伊是名隼人のランが止まらない。ファーストタックルで止まらない事が段々ダメージとして残り傷口を広げていく。

 第3QTR,順番は忘れたがRB#34伊是名のダイブ,QB#17中村のQBオープン,WR#21井本のリバースで3本立続けにとられ,勝負は決したかに見えた。しかし,4QTRに入っても,東北大攻撃はしたたかにドライブを続け,相手の反則に助けられた部分もあったがQB#7喜田のキープで1本返す。この1本は価値のある1本だった。

 ファイナルスコア:54−24 日体大勝利。しかし感じた事は点差ほどの差は無い。只,この試合を見て思った事は勝負を決する何かがおぼろげながら見えてきたという事だ。それは,先ず一つ目は,その試合のモメンタムを決するプレー,ターニングポイントとなるプレーが試合には存在するという事だ。それは今年の日本シリーズ第3戦の巨人仁志のバックホームのようなプレーだ。今回はあのインターセプト。末永もあのプレーを悔いていたし,なぜか私の会社の方が観戦にこられていたのだがその方もあのプレーが大きかったとおっしゃった。

 それから,地味な事,例えばブロックとかタックルとかダウンフィールドブロック,パシュート等を当たり前のようにしっかり出来るチームが強いチームだという事。これは,関東とか関西とか地方とか1部とか2部とか関係ない。チームの,そして個人の意識の問題で解決できるという点だ。きっと関西の3強,関京立はそれがしっかり出来ているのだろう。前者は試合中偶発的に発生する要素が強いにしても,後者は普段の取組みで解決できる問題だ。そういうことを思い,試合後の表彰式の途中,帰路につく。今回は牛タンを味わう事も,仙台の街を歩く事もなく帰った。途中,末永から携帯に電話が入る。まあ全般的な感想だったが,勝てる試合だったという事だった。

 そして,京大vs九大の結果が78−10で京大の勝利である事を聞かされる。今回,OBとして何もしてやる事が出来なかったにも関わらず,たとえ相手がどういう相手であれ絶対に手を抜くなんて事を知らない関西3強の京大から10点を取った事をうれしく思った。そして,夜中に帰り着き,メールのチェック。

 ほんと,フットボールシーズンもクライマックス。来週は甲子園,そして東京スーパーと興味が尽きない。この時期のフットボール程面白いと感じる事はない。

 でも疲れた・・・

文責 村山 英和

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