砂漠小景
    人類に 〜 刻々と砂漠化していく我等が住処を憂う 〜

ギラギラと照りつける太陽。
あの不安を覆う闇≠フ救世主は
今や裏切りを始めたのだ。

ボーボーと
沸き立った空気が
干涸らびた気管に容赦なく流れ込む。

キュロギュロと
渇いた喉を落下するはずの
唾液さえ蒸発し

鼻腔を通過した
乾いた空気の塊は
おまえの腑まで掻きむしる。

思わず失神しそうになる。

《殺せ、殺せ。》
どす黒い太陽が
あざ笑う。

おまえは
鉛色に反射するナイフを手に
ヨロヨロと歩きだす。

《殺られる前に殺すのだ!》

おまえはあたり構わず
ナイフを突き立てる。
だがナイフは

ガサリガサリと
砂を
探りあてるだけ。

その度におまえの意志は蒸発する。

もはやおまえには
痛みも苦しさも
ない。

《へーへへへ…。》

いつもより僅かに甲高く
それでいて弱く
懸命の力でおまえは笑う。

発見したのだ!

ただひとつ
渇きを潤すことができるものに
おまえは気づいた

それは今や沸騰寸前の
おまえの
心臓。