秋
         森 公宏

台風がひとつ

通り過ぎるたびに
夏が散って行く

コロコロ
コロコロ

虫たちが歌う

もう秋だよって




   足摺温泉郷
         森 公宏

露天風呂に入ると空一杯に広がる星
ミルキーウェイ
時折灯台からの光が横切るだけの真っ黒なスクリーンに
一面に星々が振り蒔かれている

(いつか子供の頃に見たような星空)

ゆったりと湯に浸りながら
僕は首が痛くなるほど天を仰いだ

先人が思い描いた銀河のストーリー
ギリシャ、中国、日本…

星空を仰ぎ思いを巡らせるとき
人は敬虔な感情が湧いてくるのだろう

まだ神々が活躍できた時代の先人達の創作
神話が単なる空想で片付けられないような思いがしてくる
そんなことを考えながら宇宙の起源に思いを馳せる

(人間なんてちっぽけなものだよ)

今夜は宇宙のロマンでも語って見ようか
そして子供の頃に見た夢の続きを見よう


   秋
           宮本 泰子

山々が紅葉し
すすきや秋桜が風に揺れ
柿の実が色付き 虫の音が聞こえる
自然は一早く秋を演出する
人間はこんな景色を見て秋を知る

この景色が無かったら
月が冴え 風が涼しくなって
人々は漸く秋に気付くであろう
ロマンも情緒も変わってくる

この国に四季が無かったら
秋には会えなかった




   子供の目
           宮本 泰子
「大仏さんは
頭にどんぐり一杯のせてたね」

「お母さんのお腹は工場だね
わたしもお腹で作ったんでしょ」

「霧は雨の子供だね」

「お母さんもこのみそ汁
食べたら温かい気持ちになれるよ」

「そんな事を言うと僕の円い心が
ぎざぎざになっちゃうよ」

子供の頃はみんな詩人だった
大人になって子供の目を
置き去りにしてきた事に気付き
取り戻そうと
朽ちかけた糸を
ゆっくりと手繰る
失敗を繰り返しながら
何度も試みる
子供の目は
拗ねて座り込む
なだめ透かし
遠い年月を手繰り寄せる