幽明界より
             宮本泰子

「あんた書かされているね」
そうかも知れない

祖母 父母 息子の霊魂が
記憶の中に住み着いていて
私を促す
時代を遡り 記憶を呼び起こし
細いペン先から幽明界を越えて
戻ってくる

忘れられない為に


   有得人
             宮本泰子

五十歳までしか生きられないと
言われて八十路を過ぎた
「百迄は生きるぞ」

何回も見たテレビ画面の
同じところで何時も笑う
名前は知らなくても
ニコニコのおんちゃんで通用する
二時間の昼寝と
二合の晩酌は欠かさない
ストレスなんか感じた事ないと言う

何代目かの祖先が徳を積んだから
得を持って生まれて来た人


   年の瀬
           森 公宏

世知辛い世の中が
何時にも増して
慌ただしさを増し

金銭絡みの醜悪な嘘が
縦横無尽に
駆け巡る

師走…

これ見よがしに
横行する
大量のデマ情報

一秒ごと
瞬間瞬間が
緊張の連続

でも僕の中で時は

殊の外緩やかに
過ぎて
行く


   メインディッシュ
           森 公宏

凍てついた空に
真っ赤な夕焼けの天火
平原の積雪に盛りつけて
さあ、召し上がれ!
これが僕の心だ




   クリスマス・イブ
           森 公宏

たくさんの俄クリスチャンが
シャンペングラスを傾け
ケーキを食らい

一頻り高らかな笑い声や
叫び声で
辺りの静寂を掻き乱す

(でも今日は聖なる夜…)

街を抜けると師走の喧騒が
まるで嘘のように
夜の闇が覆い尽くす

(今日は聖なる夜…)

星々の降る天空から
いつの間にか雪が舞い降り
お誂え向きのホワイトクリスマス

津々と降り積もる雪に
ジングルベルの音が遠くの空から
聞こえ始める…

(今日は聖なる…、しっ!)

暖炉脇のツリーに吊した
大きな靴下

おやすみ子供たち
白いトナカイの夢を見て

君たちのサンタは
もうここに居る…


編集後記
 最近、携帯でメールをやりとりしている学生をよく見かけるようになった。本格的な「※1 ユビキタス・コンピューティング」の時代到来もさほど遠い未来ではないだろう。ただ、インターネットの普及に伴って、ホームページやメールといった情報伝達手段が幅を利かせてはいるが、ホームページを自作して情報発信をしているという人は、まだそんなに多くはない。
「ワープロならできるけど、コンピューターはちょっと…。」とか、
「パソコンは持ってるけど、インターネットには繋いでない。」という人は結構多いのだ。
 昨日(一月三十日)NPO活動で、はりまや橋商店街に立って、※2 ブログ(blog)でのホームページ作成を指導した。三時間ほどの間に、お茶や焼き芋をご馳走になりながら、いろんな人といろんな話をし、その合間に自分の新たなホームページを含めて、三つのホームページをアップした。私以外の二人はホームページ制作は初体験で、
「えっ、今できるんですか?」と怪訝そうに言われたが、
「ワープロが打てるなら、誰でもできますよ。」と半ば強引に作ってもらった。
 自動焦点機能付き一眼レフが出現した時に、
「もうこれからは、写真は技術ではなくて感性の時代だ。」と言われたが、同じような言い方をすれば、
「ホームページは、コンテンツ勝負の時代が到来している!」ということだ。今やカメラは、デジカメの技術革新とフィルム無しで撮れることや、結果確認や取り直しが容易なこと等のメリットにより、アナログからデジタルに移行しつつある。音楽の例をとって見ても、デジタル音のCDがアナログのレコードを駆逐してしまったのは、CDにいろんなメリットがあったからである。
 その気があれば、『ワープロならできるけど…』というレベルの人でも、自分でホームページを作って情報発信ができる、つまり、書籍も紙媒体を介さずに内容を公表できる時代になった現在、その善し悪しはともかく、出版業界も何らかの変貌を余儀なくされるだろう。『紙資源のリサイクル』といった他業界に寄りかかるような打開策だけでは凌げない時代が来るかも知れないのだ。           (森 公宏)

※1 Ubiquitous Computing 人間の生活環境の中にコンピュータチップとネットワークが組み込まれ、ユーザーはその場所や存在を意識することなく利用できるコンピューティング環境。
※2 昨年末から話題になっている情報発信システム。ウェブログ(weblog)の略語で、インターネット上の新しい情報発信システム(ホームページ自動作成ツール)と捉えてもらえば良い。