新しい大腸がん検診の

「効果を裏書きする成績」学会に発表


 1.これまでの検診の盲点は癌から出た血液が腸内で便滞留中に変質し感度が低下して癌が見落とされることでした。

 2.快便促進食(食物センイとオリゴ糖の混合物)を採便時に食べ、より新鮮な便を採取する新しい検診を始めました。

 3.大腸癌の癌発見率は高く、従来の方法より精度(特異度、感度とも)の向上が示されました。


採便時に快便促進食を加えた新しい大腸がん検診(第2報)

阪本胃腸・外科クリニック 大腸がん検診治療研究所

藤田昌英 阪本康夫 道上慎也

すでにその評価、方法とも定着した観のある大腸検診にも、なお解決すべき幾多の問題がある。これ迄、スクリーニングの精度管理は採便してから潜血検査までに注意が払われているに過ぎない。我々は採便前の腸内での便滞留中に起こるヘモグロビンの変性劣化により、便潜血検査の感度低下が起こることを明らかにした。

2001.4.26 40回消化器集検学会(東京)
6.1 厚生省大腸集検斎藤班にて発表

そこで、より新鮮な便を得ることに依る検査感度の上昇と便潜血陽性率の低下を期待して、全受診者に採便時に排便促進のため食物センイを服用させる大腸がん検診法を開発した。

(方法)快便促進食「コロノメイト」は独自に開発した食物センイ顆粒(1包3g)で、複合食物繊維ビートファイバーと天然のオリゴ糖ラフィノースを混合したものである。採便予定の2日前より3日間3度の食事時に快便促進食を各1包食べ、スムーズな排便時に採取した。

まとめ

1.便潜血塗布紙で2日採便し、マグストリームHem Sp法で検査する従来法に、採便前から快便促進食の服用を加えることにより精度の向上を期待する新しい大腸がん検診を試みた。

2.安全、安価な食物センイと天然オリゴ糖を加えた快便促進食服用の受容度は良好で、服用後の排便がスムーズとなった割合が高いことは前回の本学会で報告した。

3.この新しい方法を採用したK町の便潜血陽性率は5.4%であり、同時期に実施した、性・年齢構成の類似した3市の6.7、6.5、7.5%より低かった。

4.平成11年度の新しい方法による受検者2,533名より大腸癌は5名、0.20%と高い発見率が示された。うち3名(60%)は早期癌であり、また、深部の癌の割合が高かった。

5.進行癌の1例の便潜血は2日とも強陽性であったが、前年の従来法による受検時には2日とも陰性の偽陰性症例であった。

6.この新しい大腸がん検診法は従来法に比べ特異度、感度ともに向上の傾向が窺われ、さらに大きな集団に適応を拡大し評価する価値があると考える。

 


戻る