今月へ
2001年4月分
[4月24日写真展終了]4月29日 皆様ありがとうございました。写真展を無事終了することができました。 写真家の黒住直臣さんが、最終日の夜、仕事先からかけつけて 会場写真を撮ってくれました。黒檀でできたカラの木の箱のなかで、私達の 写真展がマジックのように折りたたまれるのは不思議な感じでした。 今回、言葉を展示して読んでいただけた。このことがどう広がってゆくの か解らないけれど、「詩」という形式ではないけれど、作品を読んだり見た りして詩を呼吸していってくれた人が、たくさんいたという事実はとても明 るいと思えました。 最終日、にわかには信じられないけれど、森永純さん、大島洋さん、児玉 房子さんが来てくださって、言葉を交わすことができた! はじめてお目にかかった森永純さんの口から私の詩の「みずうみ」の一フ レーズがでてきて、そのイメージが写真家の中で映像に変わっているのだと 知ったとき、見てみたいと思わずにはいられなかった。森永純さんは1960年 代に来日したユージーン・スミスの助手をなさっていて芸術性の高い素晴ら しい写真集『河─累影』を出版なさっている。その写真集を私は東京都写真 美術館の図書館でみて、とても感動し、そこから「the mouth of a river」と いう詩を書いていた。 the mouth of a river 北爪満喜 濡れて光リを反射している 汚れた河口のどぶ泥 図書館でみつけた写真集に 反射する泥のさざ波があった モノクロ写真の波をめくる 沈んで粘る泥の表面が 黒い光の膜でちぢれる おばあちゃんの手のしわだ 撫でる 写真のページを撫でる 台所の水に手をひたし 何百万のお茶碗洗ったおばあちゃんの手のしわ 撫でる 帰郷のたびに肩をもみ 背中からおばあちゃんに抱きついた 終わりの頃はちいさくなった鳩胸の着物の薄い厚さ 嫁いで働きづめだった おばあちゃんの手の甲は傷跡が太く攣っていた 仕事の機械に噛まれた跡がしわを吊って横切っていた 川は 渓谷を谷を裾野を野中を集落を町を街を都市を 流れ 終わりの頃になると ずっと流れてきて堆積した泥 死骸やなにか 捨てられて腐ったものが発酵し どぶ泥 この眺めになった 川はさんざん泥を飲まされ 泥を捨てようとあばれると 嵐を捕らえて決壊し 身をうねらせて蛇行を伸ばすと コンクリートの拘束服で川は抑えられてゆく 護岸工事が施され動けない川にされてゆく ”通リ道ハ横タワッテイレバイイノダ 黙ッテロ” 大地が母という連想は受け入れられない ”土ニシトケバ 土ナラバ 踏ミ荒ラシテモ気ガ咎メナイ” そう言っている声が聞こえる 踏み荒らしてもいいというのか 〔水を見送ってゆくしかない、 〔水が流しきれない重荷を飲まされてそれが堆積に、 〔堆積が死骸をだいて、どぶ泥、 踏み付けられた母たちが 電話から本からテレビから私の部屋へやってくる べとべと私へやってくる こないで 今は 受け入れられない 私の泥を掻きださなくちゃ 写真集 痛い 泥の波 まぶしい銀の泥の波 こころがなければ鼻近付けて悪臭のどぶ泥に向かいあい 写真を撮りつづけることはできない おばあちゃんのしわが光って 叫びだす 川の 川のどぶ泥 詩の言葉っていろいろなところへ、人へ、飛ぶ! 詩の人と写真の人は本質的なところでコミュニケーションできる、してしまう ものではないかと思えてくる。言葉と写真はイメージを通して、行き来する、飛 びかうという感触を持ちました。 児玉房子さんの質問の写真を撮ること詩を書くことについてもう少し、詳し く話さなくてはいけなかったと反省。あがってしまった。 にわかには信じられないけれど、石内都さん、谷口雅さん、大西みつぐさん 楢橋朝子さん、住友博さん、兼子裕代さんという写真家の方々もみえた! [川に添って]
4月22日 三日間、母の病院へ行き付き添った。花粉がたくさん飛んでいて、 夜もマスクをしたまま眠る。レンギョウ、スイセン、菜の花、黄色い 花がいっせいに咲いている。不安ななかにも、のどかな野を思いださ せてくれる。 きょうで三回目の朗読が終わった。北海道からインターネット で知り合った横井さんが来てくれて感動する。はづきさんも、松本和彦 さんも、ネットで知り合った。 蓑田貴子さんと私もネットで出会った。去年の4月、はじめて会って から、一年。写真展は、ネットから始まってネットの外へ動き、ネット の外で作品や人と出会わせてくれた。私にとってネットはまさに「言葉 と写真」の世界だった。ネットの空間と外の空間が、「言葉」と「写真」 の質的変化に添って、繋がり会っている有機的な時空を出現させてくれ たのだ。だから水越聡美さんや早坂類さんや、魚住陽子さんも、今日、 私と蓑田さんの写真と言葉を介して、その有機的時空に溶けた人となっ た。・・これが私のいまの意識。 うろこシティ」BBS と PETORY PORTの「錨」 で写真展が話題になって ます。 [ギャラリーCASAで]
4月15日 写真展のまっただ中。きょうは二回目の朗読をした。花粉症と体調不良で たいへん鼻声になっていて、咳も出そうではらはらしたけれど、不思議と詩 を読む間は治まってくれた。多くの人においでいただいて感激。蓑田さんの スライド操作もことばを聴きながら映してくれるのがわかってやりやすい。 ありがとう。 どれが気に入りましたかと無理矢理気に入ったものがあったという前提で、 知っている方にも初見の方にも伺ってどきどきしている。谷中は道ゆく人が ふらりと入ってきてくれる。体調がよければもっと会場にいたい。 写真関係の方にはめったにお会いできないので是非ことばをいただきたい と思っていたのに、小林のりおさんご夫妻、飯沢耕太郎さん、田村彰英さん、 みな私の居ないときに見えられた。どうにも残念。でも足を運んでいただい たことだけでも嬉しい。写真家の広瀬勉さんやサイトウノリコさんも来てく ださった。 ・鈴木志郎康さんのサイト「曲腰徒歩新聞」に展示や朗読のご感想を書いてくださ っています。 http://www.catnet.ne.jp/srys/magekosi/magekosi.html#magekosi ・高橋明洋さんのサイトでは朗読のときのスライドの様子が作品になってます Daily photos 20010413 にあります。終わりの二枚の写真です。 川口晴美さん、領家彰子さん、前橋から来てくれた新井啓子さん、坂輪綾子さん、 川上亜紀さん、川本真知子さん、ヤリタミサコさん、水嶋きょうこさん、 写真家の丸田直美さん、15年ぶりになる坂井のぶこさん、成田ちるさん、ふらりと寄って くださったみなさん、ありがとうございます。 伊藤道也さん、桑原徹さん、写真家の西村春彦さん、宗近真一郎さん、広瀬大志さん、 俳句の研生英午さん、辻和人さん、岩佐なおさん、田中庸介さん、森川雅美さん、 清水鱗造さん、小林明弘さん、小笠原鳥類さん、画家の有賀真澄さん、平井弘之さんご夫妻、 山岡広幸さん、そのほかお寄りくださったみなさんありがとうございます。 [リフレイン]
4月8日 電話の呼び出し音が鳴っている。鳴り続けている。だれも出ない。 何度もなんども。一分がすぎ。二分になる。まだ鳴っている。どう しても出て欲しいに違いない。どうしても伝えたい言葉を溜めてい る誰かがいる。その人はもう解っている。誰もいないことを。でも 呼び出しつづけている。わずかな、わずかな、期待を込めて。 歩きだした私の背後で、まだ鳴っている呼び出し音。もう三分に 入っている。きゅうに逃げだしたくなって住宅街を早足になる。 [街灯に守られて]
4月3日 子どもの頃、夜の返り道は暗くて怖かった。街灯の下にくるとほっと して、息を継いで、また家をめざした。夜の闇は何かでてきそうで、ど こかで何かが狙っていた。明かりの下は違っていた。別の世界。回りの 暗さに閉ざされたまま、そこだけお話の中のように私を包んで守ってく れた。私は七人のコビトの森を思った。明かりのした、私もコビトのよ うに小さい寝台のならんだ部屋の一つの寝台に乗ってみた。コビトの森 に入っていた。子どもの頃、そんなことをしていた。 4月2日 4月10日から写真展『くつがえされた鏡匣』が始まります。 皆様、来てくださいね。 簑田さんも私も写真と言葉の展示です。 それぞれの展示について ●蓑田さんは、一枚一枚自分で現像したフイルム写真を額にいれ て壁に展示し、言葉はノートにしてサイドテーブルに置いておき ます。壁に展示した写真を見ることと、そこから目を外し、ノー トの記されたその写真の言葉を読むこと。それが、簑田さんの展 示です。読みながらもう一度、見たものが、現れるそのところの ひろがり。脳裏にうかぶもうひとつの写真、をめざします。 ●私はデジタルカメラで映した写真に日付を入れタイトルをつけ 言葉を書いたものをホームページのこのメモリーズのコーナーに 掲載することを続けています。今回の展示は、その活動の一環で す。(外部化、空間化、物質化です。) 壁の展示は詩人の(私の、とすべきでしょうか)生きてきたド キュメントとして見てもらえれば幸いです。その日付に、私を介 して起こる写真と言葉というふたつの現れ。そのふたつの現れは、 違っていたり、ずれていたりしながらも、基は同じものかも知れ ないし、均等な大切さなので、均等にこのようにプリントして、 展示しましす。
特に中の一つは、具体的に書きかけていた詩に関係があるので、 その詩を透明な紙にプリントしたものを別のところに置いておき ます。ですが壁に展示した全ての写真や言葉は、遠く近く詩と繋 がっています。 詩を書いてきたことによって視点が得られ写真を撮ることができ たし、撮った写真に向き合うことで詩が変わってきていると思う からです。 結びに、簑田貴子さんより。 「写真家と詩人のそれぞれのスタンスから写真と言葉について 作業してきました。」 どうぞ覗いてみてください。 4/10 〜4/24までの会期中、無休です。