今月へ

2004 8分

[白い鳥]


8月29日
 歴程夏の詩のセミナーにむかう。水戸をすぎたあたりで白鷺があらわれた。耕すそばにいるのは
混ぜ返された土から虫をみつけやすいからかもしれない。

 ドメスティック・バイオレンスをうけているという詩を詩学の詩誌月評でとりあげ、
救済窓口を電話番号まで載せました。それに向けてこのような反響をいたたきました。
匿名で紹介させていただきます。

 「詩学9月号詩誌評、84P〜85Pの山田満世さんの作品を読んで驚きました。
 作品化できるのに、何故、保護を求めないのか、と。北爪さんが相談窓口を紹介してく
 ださったことは、社会福祉資源の活用を教えるうえで重要でした。私は、4月から福祉
 事務所で働いていますが、毎日DVの電話相談があります。私は、直接の担当ではあり
 ませんが、シェルターへの駆け込みも含めて、全職員が協力しないと保護は成功しません。
宿泊施設に困っての偽装、というのも中にはありますが、法律が施行されるまで耐えてい
た女性の多さに驚くばかりです。」




[誰もしらない 自分を生きる]

8月26日
 とても混んでいて、一時間以上前に整理券をもらわないと満席か立ち見になって
しまう。「誰も知らない」は「幻の光」を撮った監督のもの。抑えた日々の些細な
出来事にていねいに目をむけてゆく人だ。派手なドラマをつくる人達からは受けは
良くない。きっと展開がたどれないのだろう。日々の些細なところで心を紡ぐなかで
心の出来事を転回点としているので、そのまなざしを持てない人には、なぜ、子どもと
仲良くしている母が、捨ててゆくのか、その筋道が理解できないのだ。
是枝監督は、フィクションでありながら実際の時間が侵入している凄みを撮れる。
忘れられないことがたくさんある、心に食い込んでくる映画だった。




[逃げなかった]

8月23日
 赤トンボに近づいてゆく。カメラを手でそおっと寄せてゆく。
どこまで近づけるかどきどきしなから。すると10pくらいまで
ゆけた。驚いてしまう。こんなに逃げないなんて。そういえば。
子どものころ指で円をくるくる描いてトンボに近づき、手で
捕まえることができた。トンボはなぜか逃げ足の遅いやつなのだ。



[土と木の匂い]



8月21日
 いつものコンクリートの照り返しから離れて、土や草の中を
歩いた。蟻やバッタがはったり跳ねたり。赤トンボも飛んできた。
たった二日だったのに、足元の感覚が狂ったのか、土や木の匂いの
ところから帰ってきて、地下鉄の昇りの階段で転んでしまった。



[夕陽ののこり]


8月18日
 また、とても暑かった一日。きっと見渡すことができれば
夕陽がきれいなのだろう。雲の層が少しだけ夕陽を引き取って
いる。三軒茶屋。路面電車の駅に急ぐ人達が通りすぎてゆく。




[海辺]


8月14日
 横浜港には光があふれていた。アテネオリンピックの開会式の会場に
海がイメージされて水が覆っていたのがとても新鮮だった。セカイジュウ
の選手達が、その海だったところにいっせいに集まってみせたのも、海から
生まれたことを考えると胸が打たれた。
 海のあの匂い波の響き、海のないところで育った私には、ずっと憧れが
消えない。今も海のそばへゆくとわくわくする。なのになぜか無口になる。
ただ眺めていたくなる。遠浅な浜なら海水に浸かっていたくなる。



[飛ぶ]


8月12日
 横断歩道を渡りなから撮る。あ、ビニール袋、とみてるまに、ものすごく飛んだ。
轢かれることはなかった。飛びながらガードレールへ吹き寄せられては飛び、道路を
移動していった。街路樹の椿の枝にときどき掛かっているのは、こうして飛びな
がらきた袋たちなのだ。ビニール袋はなんだか気になる。白いところなんかが。
うすくてふわふわするところなんかが。漂っているところなんかが。


[願いのように]


8月11日
 太陽に顔をむけている。そのことが願いのよう。
 ずっと光と向き合ってゆくことが。


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[影が青い]


8月9日
 まるで描いたような自転車の青い影がフェンスに。どうも別の世界を走ってゆきそうな
影。もう影のハンドルはゆこうとしてその角度へ首を向けている。


[雲の列]


8月8日
 自然の雲はなんて豪華なのだろう。そいて変化しつづけている。ライブそのもの。
上をみあげればいつでもライブをやっている。人もそうだけれど、とてもそんな風
に思えないことばかりだから、空を見る。雲が動いている。なんて豪華なのだろう。

みずたさやこさんの詩集『箱と箱』七月堂刊
面白くていっきに読む。詩のとなりに絵がカラーで入っていて詩の雰囲気が
よくわかる。私もあなたも箱を持っている。その箱について、まるでその人
を感じるようにいろいろ感じ、そして入れる中身ではなくて、その箱がどんな
箱なのか見せ会ったり、聞き会ったりする、そこがユニークですてきだった。
「注*だれだってみんな箱をもっている。そして自分の大切な物や秘密をし
まったり、ときには取り出して見つめたりしている。けれども重要なのは中身
ではなく、その箱がなにでできているかということだ。例えば、
なほちゃんの箱は白のビロード地でピンクや赤のピーズが縫いつけられている。
(略)いかにもなほちゃんらしい箱だ。(略)」
という注が詩の始まりのページに置かれている。


[機体の点]


8月6日
 飛行機雲には飛行機がある。あたりまえでも見えることは少ない。
デジタル写真を大きくしてみたら機体があった。白いドットで。
白いドットはものすごいスピードで空気を切り裂いてすすんでいるの
だろう。激しい爆音が白い線を流すのだろう。その激しさから隔てられ
ドラマテイックな彼方の白線を静かな空の風景のようにみている地上。
頭は雲のほうへゆらり。



[三軒茶屋から新宿方面の空]

8月4日
 雲を追いかけてみる。キャロットタワーの展望ロビーへゆくとさまざまな
流れで雲が浮いていた。風はあるのだろうか。厚いガラスを通して、風音は
聞こえない。



[いつも見上げる]

8月3日
 空を見上げる。夏はなんて雲の白さや、雲の変化がさわやかなのだろう。
 お盆に空き屋ではあるけれど郷里へ帰ろうと思い格安チケットの乗車券を
求めにゆくと、予定の日はチケットを使えない期間になっていた。みんな
大移動のさなかなのだ。昨夜の夢で、旅先でパスポートを置き忘れ、ブーツを
置き忘れ、いろいろ忘れものをしたけれど、みんな見つかったり、出てきて届け
られたりした。気分はもう移動モードになっているのかも知れない。



[月の雲・太陽の雲]


8月1日
 暑い。下を向いていても青空と太陽を感じている。
 ビル街で上を見上げると月が出ていた。その目を横にながしてゆくとタワーが
輝いて、月と交信しているようだった。