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 morning light     北爪満喜            朝になって カーテンを開けると 暖かい陽差しを肩からあびた   パジャマの下に張りつめていた氷が   ゆっくり溶けてゆく なぜか 夢の なかでさえ 私はどこかねじれている 誘われても断ってしまう きのうは 顔が鼻からねじれた男の人に誘われた 惹かれているのに 優しい声に背中を向け 身をかわす 男の人は顔をねじってまで近づいてきてくれたのに ねじってまで とそう思った けれど言葉は交わしている、優しい声、好きな声へ、 光でまぶしい部屋の木の床 ぼさぼさになった私の髪もふわふわと真綿の影になる パジャマも下着も脱いでしまって 裸の背中を陽にあてる 影になった私の体は ぼさぼさの髪にくらべると  床の上に黒く寂しい 肩の線がひっそりと素朴に腕へつづいている 床の上の影を見ていていた まぶしくなるほどずっと見ていた すると すこし吊れている 左肩が すこし吊れてる      髪のなかに隠れている左の肩から 肘までが 片腕が ねじれてしまっている 片腕がねじれているものだから だから私は だから 私は 光の床に掌をかざし くるくるくる 手首を踊らせてみた 暖まれば手首から肩へとリズムが伝わってゆく 動かせば生きているのがわかる よ、 あたたかい よ、 一瞬 いっしゅん