エイリアン4
主演:言うまでもなくシガニー・ウィーバー、ウィノナ・ライダー
予告してしまったからには書かねばなるまい。これを観たのは、それこそ“タイタニック”を観るのより前だったんだが、あえて書くまでもなかろうと思って書いていない。だから、その程度の事しか書かない。
まずはんなもんを観に行ったそもそもの理由から。その日は五月の“映画の日”、つまり全映画千円均一とゆーありがたい日なのであった。たまたま昼間に時間ができたので、新宿で途中下車して“タイタニック”を観に行こうと思ったのだ。ちゃんと時間も合わせてな。
そしたら、スゴイ人だったのである。しかも我輩がカウンターにたどり着き、「大人一枚・・」と言おうとしたまさにその時、ブースの中の電話が鳴って、「お客様、お立ち見になりますが・・」と来やがった。そのあまりのタイミングに、瞬間的に怒り心頭状態に陥った我輩は、「じゃいいです」と言い捨ててその場を立ち去ったのである。いくら映画の日であるとは言え、水曜日の、しかもど真っ昼間に立ち見・・・・。タイタニック恐るべし、と言ったところであった訳だ。
でまた、タイタニックってのは長い映画なので、開始時間も通常の映画と微妙にずれている。そうすると、いざタイタニックをやめて他のものを観ようとしても、適当な映画もあるはずがない。やれやれ、今日はあきらめるか・・と思った所に、十分後スタートのエイリアン4があった、と、まあそーゆー訳であったのだ。まあ、罠にはまった、という気がしないでもない。
じゃ期待ナッシンだったかというと、そうでもない。もっとも、劇場に入るまではノーチェックだったのでプログラム読んで気がついたのだが、監督が我がお気に入り映画のひとつである“ロスト・チルドレン”と同じではないか。どっかで見たような役者がたくさん出てくるのは少々気になったが、同じメンツが出てくるからといって伊丹映画がすべて面白くない訳ではない。ともあれ、あのイメージでエイリアンというマンネリ化した舞台をどう料理するのか、それは興味深かったことは、確かだ。
ここから先はネタばらしもあるので注意。
さて。
結果。
ダメ。
やっぱり、キャロ監督の使う映像テクニックというのは、エイリアンになじまなかった。「デリカ・テッセン」は観ていないのだが、近未来モチーフだったらしい。だからエイリアンもできる、と思ったのだろうか?いやぁ・・。しかし、監督を責めるのも可哀想と言うべきか。(引き受けた時点で間違っていた、という気はするが。)シガニー・ウィーバー演じるリプリーが復活する、その設定からして無理があるのだ。第一、この脚本、通して読んで、幾らでも矛盾点が出てくる事に気がつかなかったのか?もう馬鹿らしくて指摘する気にもならないのだが、リプリーの血液がアレなら、何故リプリー自身が溶けてしまわないのだ??エイリアンが強酸性の血液を持ちつつ生きているのは、あれが「有機体ベースではない完全生物」という設定があってこそなのだ。それとも、あのリプリーはタンパク基ベースじゃないってのか??だいいち、エイリアンが体内に寄生すると、なぜ遺伝子が混ざったりするのだ?混ざるとしても、エイリアンが核酸ベースの遺伝子を持っているというのは俗すぎやしないか??中身が外に吸い出されるくらい急激に与圧が下がるほどの損傷を受け、そのまま大気圏突入して大丈夫なのか??(大丈夫なのかもしれないが・・)巨大宇宙船が地表に衝突したとして、その下にいる人は????
ストーリーの深め方、というのはほとんど考えていないらしい。コール(ウィノナ・ライダー)を使って、同じ「非人間」リプリーと絡めたのはまあよかろう。だったら、二人の、愛憎と言っていいくらいの感情の絡みが見たかったし、コールの先祖にアッシュやビショップがいてそのメモリーが・・ぐらいの背景が欲しかった。わき役は、そりゃまあ多くは死んじゃうんだけど、それにしたってもうちょっとキャラを描いて欲しかった。監督お好みの役者は生き残ってるっていうのもなんだし。プログラムなどでは、エイリアンとの一種の「性的な」ふれあい、それは「親子関係」にも通じてくるのだが、そういうものが描かれている、と書いてある。だからなんだ。「相手が殺人マシーンでも愛を持ちましょう」とでも語るつもりなのか。(たぶん違うだろうが。)そのテーマが、一体エイリアンにとってなんの意味があるのか。第一作目のリドリー・スコット版「エイリアン」は、SF映画である以前に純然たるホラー映画であったと思う。次の2は、パニック映画とも捕えられ、同じ系譜の上にある。(3は、実はテレビでしか観てないのでコメントは避ける。)元来がエイリアンとはそういう映画なのであって、エイリアンにお化け屋敷の人形以上の役割を与えようとしたあたり(2の後半、クイーンがクローズアップされるあたり)から、このシリーズはおかしくなってきたのである。
・・・・ふぅ。
ま、いいか。
でも、私は、「エイリアン」は好きだったよ?
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