ディープ・インパクト

 観た後に読んだプログラムにまさに僕と同じ感想が載っていたので、それを書くことで代弁としよう。
 「これは真面目なID4だ」という評論が、なによりもこの映画の本質を表わしている。「ID4」はいい映画だった。「ディープ・インパクト」もいい映画であるが、その質は「真面目かそうでないか」という一言によって分けられる。「ディープ・インパクト」は、「地球最期の日」というテーマを真正面から扱った大作だ。

 この映画のテーマは至極簡単だ。つまり、「あと一年で世界が終わります。さて、貴方はどうしますか?」という事につきる。映画の中では、終末を前にして結婚しちまうティーンとか、絆を取りもどす親子とか、世界を救えず苦悩する大統領とか、いろんな人物が描かれている。だが、実際のところ、(映画の中でモーガン・フリーマン扮する大統領がその事実を発表してから以降、)観ている我々の頭の中は、ある一つの考えで一杯になってしまう。「その時、自分はどうするのだろうか?」

 この映画は「真面目な」映画であるが故、それを考えずにはいられない。そして、真面目な映画であるが故、基本的には救いはない。まあ、宇宙飛行士が彗星に降り立ったり、戒厳令下の深夜に流しのタクシーが拾えたリするのはいいとしよう。若い二人が(ノアよろしく)生き残ったり、宇宙飛行士たちの決死の行動で地球が救われたりするのも、まあ、映画だ。(不覚にも、後者には感動してしまった。お涙頂戴シーンだというのに・・。これも真面目だから、か?)しかし、基本的には「海は立ち上がり、街は沈む。」
 生き残れる者は、ごく僅かだ。

 その可能性が決して少なくないものであることはご存じだろうか。説明は省くが、こうしている今でも地球は隕石の雨に曝されているし、そのうち一つが地球を破滅させるほど大きいものだったとしても不思議ではない。(もちろん、そういうものは事前に発見される可能性が高いが。)この映画は、その凄まじい映像力でもって「その時」の完璧なシミュレーションを見せてくれた。この勢いで「十戒」のリメイクでもするのではないか、という感じだ。日本アニメもどきのアリ映画作る程度に使うべき技術ではないと思うのだが。(失礼)

 その時、僕はどうするのだろうか?

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