イレイザー
監督:チャールズ・ラッセル
主演:アーノルド・シュワルツェネッガー バネッサ・ウィリアムズ

 正直、期待外れ。パイロット版(というか、予告編)では、バネッサ・ウィリアムズを「ERASE」する場面があって、それがオープニングのような気がしていたんだけど、実際にはサブキャラとシュワちゃんの絡みから始まる。伏線のつもりなんだろうけど、スリリングさという点では大きく減点。単純に立ち上がりが遅いだけ。

 「FBI証人保護プログラム」は実在するシステムだというが、映画中での扱いはIMF(Impossible Missioning Force、ミッション:インポッシブル主役の秘密機関)並に不合理。まあそれは映画だから大目に見るとしても、他の部分でも設定のチープさったらむちゃくちゃ。秘密兵器は電磁銃、俗に言う「レールガン」なんだけど、プログラムでは「現実的に数年で可能」とか「よくリサーチしている」とか書いてあるが、バカヤロウ。レールガンは決して「光速で」弾丸を打ち出したりしないし、加速部は液体窒素冷却の超伝導で決して持ち歩けたりしない。そりゃあ映画だが、だったらもっと荒唐無稽な殺人光線発射装置でも使えっての。X線で透視できちゃったりするんだが、この「透視シーン」がワイヤーフレーム。人はガイコツ透けて見えるくせに心臓だけはちゃんと描いてある。なめるな。だいいち、そんな強力なX線発射したらそれだけで立派な殺人兵器だわい。ったく。

 とにかくご都合主義と死体の山をシュワちゃんがパワーで踏み潰していく。「百発百中」の筈の兵器をシュワちゃんはかわしまくり(実は大した事ないんじゃ・・)、ワニはジュラッシック・パークの夢を見ているとしか思えない。主演二人ののロマンスも描ききれてない。(「ミッション:〜」もそうなんだけど、やっぱなんか遠慮してないか?)特殊効果もいまや当り前になりすぎたためか、このレベルではだいぶボロがでる。パラシュートで浮いているシーンぐらい、実際に撮れよって気がする。(ジャッキー・チェンを見習え!)

 娯楽映画にすぎないから大した期待はしてないけど、娯楽映画が娯楽に撤しきれないでヘンにリアリティ匂わすとこうなる、という悪い例がまた増えた。シュワちゃんが撃ちまくるところだけは期待してたけど、それほどでもなかったしなぁ。

 ・・それになんだ、あのエンディングは。あれでも一ひねりしたつもりなのか。それでいいのか。ああ・・・・。
[EOF]

「こんな映画を観た...」のメニューへ戻る
ホームページへ戻る