もののけ姫
監督:宮崎駿実際に観に行ったのは一ヶ月も前、まだ九月に入った直後の平日だったと思う。とはいえ、夏休みはとっくに終わっている訳だし、いくら大人気とはいえよもや混んではいまい、という感覚で観に行ったのである。
ところがギッチョンチョン(死語)。映画館は初回から立ち見が出るありさまで、一回目が終わって出てみたら、すでに三回目を待つ人の列が階段にずら〜り。いやはや、あれだけ人が入っている映画と云うのもひさしぶりであったなぁ、と思う。
で、なんでそーゆー事になっているかと云えば、リピーターがかなりの数いるらしい、というのである。なんでも、内容的に難解なんだそうである。そうか?
果たして、この映画は何度も観ないと理解できない程、難解であろうか?竹を割ったような真直ぐなテーマであり、ストーリーではないだろうか。もちろん、細かい、伏線めいた部分があることは認める。が、そういう部分はどちらにせよ物語の本筋とは関係がない。この物語の本質は、もののけの棲む(力を持った)自然と、それを征服しようとする人間の戦いだ。それ以外にどんな意図を見い出せと云うのだろうか?それ以外のものを見い出したところで、このメイン・テーマに匹敵するだけの意味があるのだろうか?それに気がつかないなんて、よっぽど鈍いのではあるまいか、と思う。(それとも僕が単純すぎるのだろうか?)
もっとも、余りにも単純すぎるために「本当にそういう話でよかったのか?」みたいに逆に穿ってしまう、ということもあるのかもしれない。しかし考えてもみよ。これはアニメであり、しかもエヴァンゲリオンやらのように視聴者層を狭く限定してものではない。子どもと親が一緒に観るための映画なのだ。単純明快、と言うつもりもないが、それにしても、あまり深く考える必要もあるまい。それとも、大人になると素直な見方ができない程ひねくれてしまうものなのだろうか?(それとも僕が単純すぎるのだろうか?)
もっとも、余りにもストレートではある。それを言葉にしようとすれば赤面する意外にないかも知れないほどに、ではある。しかし、この作品はそういうものだろう。最高の監督が最新の技術を使って作り上げた、間違いなく最高の部類の物語である。
ただ、誤解を恐れず言っておけば、この物語が「映画として」素晴らしいものかどうかは異論が残るところだろう。結局のところ(最後の敵であるところの)「E.T.」と同じなのだが、考えさせられるには違いないが強力に、人の人生を変える程のインパクトはないだろう。そして十分な満足を与えられる程の娯楽性を持っている、とも思えない。良い映画であるには違いないのだが、なぜこれほどまでに爆発的に売れるのか、その方程式が見えてこない。まあ、人間が心の奥で求めているものは、我々自身にとってすら未知数の部分なのだ、ということなのだろうか。(でも、「E.T.」と「もののけ姫」という二つの方程式を並べてみると、未知数が導き出されてくるような気がするのですが・・。まあ、つまり、「そーゆー話」ってことですよね(笑))
んー、ま、しかし、なんですか、「アシタカよ、お前は故郷にかえって部族を継ぐのではないのか・・。ああ、また色恋沙汰で部族がひとつ滅びてゆく・・」みたいな部分はあるけどね(笑)[EOF]
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