ザ・ロック「こんな映画を観た...」のメニューへ戻る
監督:マイケル・ベイ
出演:ショーン・コネリー、ニコラス・ケイジ、エド・ハリスいや、予告と違うんですけどね(爆)。タダ券もらったんですよ。そんで、観に行ってきました。
・・・・そしたらあんた、これが結構面白いんですよ。ストーリーは、かつての大監獄「ザ・ロック(アルカトラズ刑務所)」に立て篭ったハメル凖将(エド・ハリス)率いる海兵隊反乱将校達に対し、「ザ・ロック」からの唯一の脱獄者メイソン(ショーン・コネリー)と、毒物の専門かであるFBIの化学者グッドスピード(エド・ハリス)が挑む、という単純なものですが、いやもう、カッコイイのなんのって。この映画のポイントの一つは、なんといっても敵役がカッコイイこと。本当にかっこいいんだ、訓練された海兵隊が、海兵隊武器庫から毒ガス弾頭を盗み、アルカトラズを占拠する「作戦」を、素早く正確に遂行していく。「十六時」のことを「1600(sixteen-hundreds)」なんて言うあたり、ゾクゾク来た(笑)。
そんでまた、ショーン・コネリーがいいんだよなぁ。ストーリーがうまくつくられている事もあるんだけど、協力を嫌がりながらも次第に(自らに苦笑いしながらも)グッドスピードと打ち解けていく過程、娘を思う一人の父親としての姿、「消されてしまった男」の悲しさがうまく表現されている。協力を請われたメイソンが脱出するシーンとか、アルカトラズでの立ち回りなんか観ていると、六十過ぎの男とは思えない。いやぁ、すごい。ところで、彼の役どころが「元英国のスパイ(特殊部隊)」ということになってるんですが、当然これはMI6(英国情報部)かSAS(英国特殊空挺部隊・特殊部隊)を想像させて、という事は007を連想する訳で(笑)。これもひょっとすると遊び心ですよね。あとは、トロッコのシーンって、「インディ・ジョーンズ」(コネリーがパート3に登場)をパロってるのかなぁ。
あとはアクションが、派手なんだ。前半の見どころであるメイソンの逃亡シーン。サンフランシスコの坂道を舞台に「あぶない刑事」も真っ青のカースタントを見せてくれる。しまいにゃ名物路面電車も吹っとばしての大爆発。「うわぁーい、やってくれるぜおい」って気持ちになれる、ほんと。最後はホーネットによる爆撃シーンなんだけど、そこへ向けての盛り上がりがいいんだ、これが。全編通じて見どころがいくつもポイントごとに置かれていて、全然長い映画をみている気分にならない。次から次へサブのクライマックスが送られてきて、その中でメインのストーリーが大詰めに向かって突き進んで行く、そのバランス感覚がすばらしい。
とにかくストーリーが良く練られている。軍隊やFBIのディテールに凝っているので、ストーリー自体のリアリティがいや増される結果になっている。シールと反乱部隊の激突シーンなんか、もう、本当に両者の気持ちがぶつかり合って、ゾッとするほど感じが出てる。グッドスピードが銃を撃つまでの過程、彼が生き残るために強くなっていく過程は、ちょっといきなりな感じはするが、しかし十分理解できるところ。主人公級の登場人物が三人もいるのに、あまり描き洩らしている気がしない。これはもう、彼らの演技力と演出がピタリ、マッチしている結果だといえるだろう。主役級の人達とわき役との絡みもうまく物語を盛り上げている。
まあ、映画故に誇張している部分はもちろんある。反乱部隊は神経ガス弾頭を盗み出すんだけど、これはVXをモチーフにしてあるらしい。VXというと、最近ではオウムが使ったとか使ってないとかで話題に出てるのでなじみ深いが、現実の兵器として使われた場合は核爆弾同様の恐るべき効果をもたらす。神経ガスは無味無臭で、しかも皮膚から吸収されえるので完全防護以外はガスマスクなども効果がない。致死量はごくわずかで、有効な解毒方法は存在しない。粘膜や皮膚から吸収されたガスは、あらゆる神経伝達をブロックし、結果として心臓が停止して死亡する。この映画では、このガスをもっとむごたらしい死に方(皮膚がただれたりする。そのようなガスももちろん存在する。)をするものとして描写し、十数秒以内なら解毒剤の注射で助かる、としている。(実際には助けることはほとんど不可能だろう。)視覚に訴える「映画」であるがゆえの処置であろうが、「恐ろしさ」という点ではリアリティを大きく損ねるものではない。こういう演出は必要であろうし、より観客を引き込む。そのバランス感覚は難しいところだろうが、「イレイザー」が「リアリティ!リアリティ!」と叫びまくった挙げ句にあのていたらくだったことを考えると対照的に思える。
おそらくは「プラトーン」のような戦争映画をかなり参考にしたんだと思う。(ラスト近く、グッドスピードが発煙筒掲げるシーンなんか・・ねぇ。)SFでもなんでもなく、「いまそこにある(かもしれない)危機」を描写してのけたこの作品は、間違いなくオススメだ。[EOF]