トレインスポッティング
原作:マービン・ウェルシュ
監督:ダニー・ボイル

 うーん、俺様ってば麻薬なんて一切やったことないっすからねぇ。(普通誰だってそうだってば。え?そうでもないの?最近は?)正直、この映画に共感して絶賛したロンドンっ子とかメリケン人ってのは、十中八九麻薬経験者なんじゃないの?多分。まあ、なにぶん最近は合法ドラックとかいろいろあるらしいけど、いったいいくらぐらいでどこ行けば確実に手に入り、どれくらいキクもんだかって僕ら知らないじゃないですか?当然、それがヘロイン(しかも静注)とかになればあたりまえなわけっすよ。だから・・・

 だからこの映画面白くないかっていうと、そんなことないんだ。「ファーゴ」が淡々と非日常を描いてみせたのに比べると、こちらは淡々と日常を描いてみせてるって映画。それがまさしく「映画みたいに」躍動してるんだけど、ホントのジャンキーってこうなのかな?って思えてくるあたりは役者のブチキレ具合が見事だからだろうかね。(特にベグビー役のロバート・カーライルって奴が・・これがもう半端じゃなくキレてる。役者ってスゴイ。)
 レントン(一応主人公?)がなんども麻薬やめようとして、一時は更正して仕事してみせたりして、でも結局悪いダチのおかげで元の生活に舞い戻ってみたり。元もと原作者のマービン・ウェルシュの半自伝的物語だったっていうけど、なるほど、という感じ。

 この映画の魅力の半分ぐらいは、おそらく悪ガキ(って歳じゃないみたいだけど)の個性の強さ(アクの強さ)が見事に描き分けられてるあたりだろう。それぞれの役者の演技はもちろん、服装とか家族とかの微妙な小道具が見えないところを想像させてくれたりする。(レントンなんて、じつはそこそこいいとこのボンボンなんじゃねぇの?とか。)ダイアンの制服姿とかいいしね(笑)。実は役者はみんなスコティッシュ訛りで喋ってるらしいけど、あいにくこちらにはそこまではわかんない(笑)。それでも、田舎の街でくすぶってる不良ってイメージはよく出てる。そういうシーンが意図的に挿入されてるのも、ホントはくどくなるところだろうけど、僕ら日本人にはそれくらい言ってもらった方がわかりやすい。(にしてもスコットランドの田舎の風景ってスゴイよねー。日本の「田舎」っていう概念も超越してるもんねー。)

 僕が個人的に気に入ってるのは、レントン達がただ麻薬やってウダウダしてるシーン。ただ大人にはなりたくないけど、かといって何にもすることないしー、っていうのが、モラトリアムしててよくわかる。こーゆー連中がスコットランドの(というより大英帝国全体の)若者のスタイルなのかどうかしらないけど(たぶん違う)、日本に比べたらたぶんそういう方向なんだと思う。日本でもクラブだなんだって流行りだ(らしい)けど、所詮はマネのマネなのかもしれないね。(って、俺様は日本のクラブシーンも全然知らないのでなんとも言えない・・・)

 ずーっと音楽が鳴りっぱなしなのもカッコイイかも。雰囲気をうまく盛り上げてるとおもう。(ホントはなんか統一したジャンルらしいんだが(なんとかポップとか)・・ようわからん。)

 ま、積極的にお勧めはしませんけど、「ヘヘッ」とかって笑いを好む人にはいいかも。[EOF]

「こんな映画を観た...」のメニューへ戻る
ホームページへ戻る