ユメノ銀河
監督:石井聰瓦
主演:浅野忠信 小嶺麗奈夢野久作原作って時点でかなりイロモノ臭いんですが(失礼)、実際のところ、私はこの映画の原作である「少女地獄」ってのは読んだことないんですよね。んなもんで、良かれ悪しかれ原作との比較ってのはできないんですけど。
MovicTalkでも話してますが、「この映画観に行こう」って思う原因の一つってのはタイトルだと思うんですよね。この監督の映画は「水の中の八月」とか、この映画とか、ちょっと引かれるところがあるんですよねー。(前者は結局観に行けなかったんですが・・。)タイトルからすると、夢野久作というより宮沢賢治原作みたいな雰囲気ですが、白黒で構成された画面の雰囲気は、夢野久作とかもしくは江戸川乱歩のような、なんとなくエロティックな時代の、その言葉の持つオーラをうまく表現していると思います。
原作読んでないって言っておいてなんですが、うまい原作を選んだと思いますよね。謎のバス運転手(浅野忠信)と女車掌(小嶺麗奈)という舞台設定、友人(後輩?いとこ?:京野ことみ)に送られた手紙を通して語られる言葉というスタイル。その時間をうまく表現する舞台装置はあらかじめ原作に用意されていたのですからね。ただ、それを石井聰瓦というヘンな名前の(重ねて失礼)監督は見事に使い切った。それもただ使っただけでなく、自分の空気を見事に吹き込んだ。これはいいですよ。
つまりそれは「見せ方」の問題なんでしょうね。白黒の画面もそうだし、カメラワークもそうだし、キャスティングなんかも。主人公が小嶺麗奈、その相手役である謎の運転手が浅野“カフェレシオ”忠信。この二人が実にスゴイっす。特に小嶺。ぎこちないような、それが素のキャラクターのような、そのあたりが役にはまってよかったですね。ただ、一つだけ気に入らなかったのはエンディング。海を前に、一命をとりとめた小嶺麗奈と京野ことみが話し合ってるんだけど、女車掌の胎内には、というオチ。あっれは、まあ、命の輪転みたいなことを意図しているんだろうけど・・あっ、でも、そう考えれば浅野の最後のセリフともからんでくるのかな。そう考えれば、そんなに悪くもないか??
[EOF]
「こんな映画を観た...」のメニューへ戻る
ホームページへ戻る