ストレンジ・デイズ
監督:キャスリン・ピグロー
出演:レイフ・ファインズ
   アンジェラ・パセット 他

 1999年の年末を舞台に、「記憶を記録/再生する」装置「スクィッド」のあるデータをめぐるお話。SFもの。「二十世紀最後の日」というコピーは、覚えてる人多いんじゃないかな?

 結論からいうと、なかなかリアリティのある映画ですよ、これ。「世紀末」という世相を現実的にとらえて、雰囲気をよく出してる。実際に1999年の年末はこんなんじゃないか、ってちょっと思わせる。群衆が街を埋めて大騒ぎしてるシーンがクライマックスなんだけど、本当にこうなるかもしれない。もっとも「記憶を記録/再生する」って装置についてはナンセンスなんだけど、たとえばそれを利用して、強盗やセックスのシーンを記録し、闇ルートで流してるなんてのは、今の裏ビデオとやってることは大して変わらないように思える。これが治安の悪い世界で究極に発達すると、「犯罪の記憶を売る」って商売になるだろうと思う。(現に、高速暴走してるビデオとか売れてるじゃない?)そう、たぶんそうなるだろう、と思う、思わせる、そのストーリーの組み立てはなかなか上手い。MTVとかの実際に(現代も、そして未来も)あるメディアを利用して現実感を上手く演出してるんだと思う。黒人指導者が偉大なラッパーってのも今ならありえる話だろうね。

 それで、ある重要な記憶ディスク(MDだ(笑))をめぐって、元警官の闇記憶ブローカーが走り回るストーリーは、姿を見せない(そのくせ犯罪の「記憶」だけはしっかり送ってきやがる)敵の不気味さがなかなか上手く生かされている。ただちょっと主人公が情けないような気がする(昔の女に振り回されてるあたり)けど、それも現実感をもりあげるためなのか。(見ててかわいそうになってきたもんなぁ。)敵はサイコな感じなので、主人公が死にそうだって危機感よりは、主人公といっしょにウラを考える、という形になると思う。

 ストーリーは大晦日の夜に向かって集束していくんだけど、ちょっと「事件の真相」なんかのどんでんがえしが軽すぎて、いや、伏線が上手く生かされてていいんだけど、陰謀のニオイぷんぷんさせておいてただのチンケな事件だってあたりがどうにも消化不良な感じが(^^;)。まあ、リアリティって意味ではいい線なんだろうけど。この辺は趣味によるかな。あと、問題の大晦日まであと何日なんだ、ってのがいまいちよくわからない。多分、ラジオとかで情報を伝えてるんだと思うけど、ビデオだとよくわからなかった。

 あと・・・・一つだけ重大なもんだいがあるんだよね、この映画。だって・・・・西暦2000年って、全然21世紀じゃないんだもの。これは公開時の「二十世紀最後の日」ってコピーにさんざん文句つけられてたから、覚えてる人もいるんじゃないかな(笑)
(解説:キリスト生誕とされているのは実は西暦1年。その前の年は紀元前1年な訳。で、一世紀は百年なので、二十世紀は1901年から2000年一杯までになる。みんな、ダマされないようにね(笑))

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