用賀アーバンクリニック


アトピー勉強会報告

第一回 「食事について」

 3月3日土曜日(お雛祭りでした)、クリニックの待合所にて第一回目のアトピー勉強会を開催しました。
参加人数は4組と少なかったのですが、みなさんと身近な距離で勉強出来たと思います。
今回は私たちが一番お伝えしたかった「食事について」でした。
下記についてうパパが講義をしたあと、かずままさんにご協力いただいて、アトピーっ子のおやつのレシピを
ご紹介して、「除去するものがあっても、こんなにおいしそうで楽しいおやつが出来るんだ!」と好評でした。
そして、最後はみなさんと自由におしゃべりタイム♪同じ悩みを持つ親同士、すぐにお仲間になることが出来ました。
今後も定期的に開いていく予定でいますので、少しでも多くのみなさんとふれ合いながら、勉強していけたらなぁ。。。
と思っています。もちろん、その都度HP上でご紹介していきますね。

さて、今回の本題に入ります。
”何を食べてもいいからだする”ためには、どのようなことに気をつけていけばよいのでしょう。
完璧に実践できないとしても、食についての知識が頭に入っていれば、ストッパーがきくと思うのです。
みなさんも是非一緒に勉強していきましょう!!

アレルギー生活術 食事編

人間の体は組織が集まって出来ており、その組織は細胞が集まって出来ています。細胞の一つ一つは食べ物から作られているということ、、、アレルギーにおける食事の基本は、この単純な事実をしっかり頭に入れることです。今のアレルギーの食事療法は除去食というのが主体になっていますが、私たちは「なにを食べてもよいからだにする」ということを目標に、健康な食生活で健康な体を作りましょう。

フライパン料理を控え、和食を心がけましょう。
油はアレルギーを引き起こしやすくしたり、炎症をひどくする物質を体の中に作ってしまいます。できるだけフライパンを使わない献立にすることで油を使わずにすみます。
油を使う場合は、リノール酸を多く含む植物油(紅花・コーン油)は炎症をひどくする作用(*1)がありますので、控えるようにし、オレイン酸の多いオリーブ油やαリノレイン酸の多いシソ油(エゴマ油)(*2)がおすすめです。
*1)リノール酸(サラダ油・コーン油・紅花油に代表される植物油)は、体内で「アラキドン酸」という物質に変わります。このアラキドン酸は、さらにアレルギーを引き起こす「ロイコトリエン」や、炎症を引き起こす「プロスタグランディン2」という物質に変わります。よってリノール酸の摂りすぎで、アラキドン酸の過剰状態となり、アレルギーや炎症を起こしやすくなってしまうのです。リノール酸はかつてはコレステロールを下げるので体にいいといわれていましたが、現代では摂りすぎにより弊害が指摘されています。
*2)オレイン酸・αリノレン酸は体内に入ると、アレルギーや炎症を起こすアラキドン酸をブロックする働きがあるといわれています。
アトピーや鼻炎、ぜんそくなどアレルギー治療の特効薬として使われる「ステロイド」は、アラキドン酸の生成を阻害することで、「抗炎症」作用をもたらします。ステロイドは劇的に効きますが、これは裏を返せば、それだけアラキドン酸が、アレルギーの炎症の根本的な原因になっているということなのです。しかしいくらこのアラキドン酸の生成を抑えても、その原料となる物質がどんどん体内に入ってくる限りは、根本的改善にはなりません。アラキドン酸の摂取量はここ50年で4倍に増えていると言います。よってアレルギーがあるところに油ものを食べるということは、火に油を注ぐようなものと言えます。台所からフライパンをなくしましょう。食事を江戸時代に戻しましょう。アレルギーの人などひとりもいなかった江戸時代の食事=和食こそ、アレルギーを治す、体質を変える、最大の治療なのです。

動物製品を使った料理を控えましょう。
肉、卵、牛乳などのタンパク質は大事な栄養素ですが、昭和30年を1とすると、現代人は卵・植物油は4倍、肉類は6倍、牛乳は9倍も摂っているのです。その結果、動物性タンパク質の摂りすぎの状態になりつつあります。日本の食生活の欧米化が原因といわれています。これまで穀類や魚を中心にしてきた日本人にとっては、栄養価の高い高蛋白・高脂肪を摂りすぎる現代の食生活は、カロリーオーバーで体中に酸化熱がたまり、化膿しやすいアレルギー体質になるのです。また高蛋白・高脂肪の食生活はかえって体を構成するカルシウムやミネラルまでを奪ってより多く排せつしてしまうのです。さらに腸内では分解されにくい動物性蛋白が腐敗し、悪玉腸内細菌の繁殖を促し、それら悪玉菌が産生する毒素が悪影響を及ぼすのです。
肉食動物の腸の長さは身長の約4倍、草食動物が約20倍、人間は西洋人が約12倍、日本人は約14倍くらいです。つまり人間はちょうど肉食動物と草食動物の中間であることを物語っています。なぜ肉食動物の腸が短いかというと、便を速く排泄したいからなのです。肉を食べたときの消化物は腸の中で腐敗しやすく、様々な毒素を発生してしまうのです。これらは体内毒素はとして、腸に留まると腸粘膜の新陳代謝が妨げられ、機能低下を起こします。栄養分の吸収不良や腸そのものの免疫力低下を招きます。さらにこの毒素は腸内から吸収され、内臓の各器官を汚染していく諸悪の根元といわれています。
特にこの腸内細菌が作り出す重要な補酵素である「ビオチン」は「ビタミンH;皮膚のビタミン」と言われ、ローヤルゼリーなどにも豊富に含まれているものです。腸内細菌の働きが弱まり、これが不足すると皮膚炎や脱毛が起きるのです。最近乳幼児、特に調製粉乳に栄養源を頼るこのビオチンの不足が指摘されるようになりました。(日本の粉ミルクには、このビオチンが含まれていませんが、アメリカのものにはちゃんと配合されています。)アトピーにとって、腸内細菌を正常で活発な状態に保つというのは、非常に重要なことなのです。
最近アレルギーの患者さんの腸に、カンジダというカビがたくさん生えていて、このカビを殺す薬を服用したら症状が良くなったという報告があります。逆に言うと、それだけ現代の食事の変化で、腸が弱っているということです。
焼肉などのお肉類は、たまの楽しみにとっておくようにしましょう。また焼肉を食べた後の、次の食事は根菜野菜を中心にした献立にするなど、一日の中で食事のバランスを考えれば、体の負担も軽くなります。またバター・ハムなどの加工品も控え、タンパク質はなるべく魚か大豆などの植物タンパク質で摂りましょう。あと正常な強い腸内細菌を整える意味で、その栄養となるオリゴ糖を取るのも良いでしょう。
卵・牛乳について
卵(特に卵白)や牛乳は、分子量の大きいタンパク質であり、これらは乳幼児の未熟な腸管では、うまく分解されず、そのままの形で吸収されると、これらは異質な抗原物質として認識され、アレルギー体質を悪化させる原因になります。よって少なくともアレルギーの素因(両親や兄弟にアレルギーのある場合)のあるお子さんは、症状のあるなしに関わらず、この卵と牛乳は腸管が発達する3歳ぐらいまでは控えておいた方が賢明です。(*下記に詳しい記述があります)
白砂糖はやめましょう。
白砂糖は体内で、分解・消化・吸収されるためには、ビタミン、カルシウムなどのミネラルを必要とします。必要以上の白砂糖を摂取したときには、燃焼するときに体の骨のカルシウムが使われます。生成されていない黒砂糖には、ビタミン・ミネラルが含まれていますから、カルシウムを骨から奪う必要がありません。料理しやすい粉末タイプの黒砂糖がありますので、どんな料理にも手軽に使えます。ただし、黒砂糖も所詮は砂糖ですので、摂りすぎには注意が必要です。
野菜は温野菜にした方がたくさんとれます。
鍋料理のお野菜を見るととても食べきれないと思っていても、食べてしまうものです。野菜は茹でるとビタミンCが破壊されることが心配ですが、さっと茹でたくらいなら、”5分の1位”しか破壊されません。野菜をたくさん食べるこつは軽く茹でることです。そして、後にも書いてありますが、芋類・ゴボウ・人参などの根菜類はアレルギーの炎症症状を和らげる働きがありますので、積極的に摂りたいものです。
果物は糖分が多いので気をつけましょう。
食べる場合には、季節の果物をを食べるように心がけましょう。南方系の果物は体を冷やす作用があるので、寒い時期には禁物です。
おやつも食生活の一環であることを忘れずに。
スナック類には炎症をひどくするといわれる植物油が使われていますし、また市販の甘いおやつには多量の白砂糖が使われています。ジュースや缶コーヒーには角砂糖にすると9〜13個も入っていると言われています。甘いものはたまの楽しみにとっておくようにしましょう。
“陰陽”をバランスよく。
食べ物はすべて”陰”と”陽”のものに分けることができると言われています。陰の食べ物とは、基本的には土の中や海の中で発育したり存在しているものです。いも類、人参、ごぼう、玉ねぎ、にんにく、大根などの根菜類。また魚や海藻、貝類などの海産物、塩も含まれます。一方陽の食べ物とは、基本的には地上または空中で発育したり生活しているものです。葉野菜、果物、牛や豚などの動物やその加工品、鳥や卵などがあげられます。
前述の炎症を引き起こす物質「アラキドン酸」を抑制すると言われているのは、青魚、特に目の後ろに含まれているDHAEPA、それに芋類・ゴボウ・人参などの”根菜類”、つまり陰の食べ物です。陰陽のバランスのとれた食生活が大切ですが、アレルギの場合、陰の食べ物、太陽の当たらない食べ物をたくさん食べると言うことがポイントです。
離乳食のこと(特に卵や牛乳などの摂取について)
アトピーの赤ちゃんの離乳の時期と、その際の「取って良いもの、悪いもの」について、よくご質問を受けます。乳児のアトピーをかかえるお母さん方にとって一番気を使うところですので、少し長くなりますが、詳しくお話しします。
アトピーの子にとって、最も問題となるのは、タンパク質の摂取についてです。
ご存じのようにタンパク質は身体を構成する重要な栄養素のひとつであり、乳児にも欠かせないものです。特に卵・牛乳・大豆の3食品には、このタンパク質が豊富であるのに、なぜこれらはアレルギーに悪いとされているのでしょうか。
そもそもアレルギーとは、自分の身体以外の物質に対する「異物」としての過剰な反応が引き起こすものです。この異物を抗原(アレルゲン)と呼びます。生後〜2歳くらいまでの赤ちゃんは、腸管の発達が未熟であり、消化力が弱くてタンパク質をアミノ酸にまで分解しきれず、大きな分子のままに残りやすくなります。その上、赤ちゃんの腸管壁は未熟でそのような大きな分子を通しやすいので、大きな分子がそのまま血液中に入って抗原として働き、抗体を作ってしまうのです。
卵・牛乳・大豆といったタンパク質は人にとって「異種タンパク質」ですから、体内に入るとこれを排除しようと抗原抗体反応が起こり、場合によっては、これまでアレルギー反応の出なかったものまで、未熟なうちに摂取することで、アレルゲンとして認識されてしまい、認識後は食べるとアレルギー症状が悪化してしまうという事態まで引き起こしてしまう可能性があります。ただ、乳児期の食物アレルギーは、腸管が発達する3歳頃までにはほとんど起こりにくくなるので、それまでの間をガマンすれば、あとは問題なく食べられるようになることが多いようです。
厚生省が、平成7年に改定した「離乳の基本」という報告書にも、12か月以前の乳児に対する牛乳は控えた方がよいという勧告を出しています。これはアレルギーの要素のあるなしに関わらず、牛乳にはいろんな弊害が多いので、控えるべきとされています。この考え方はすでに世界中の常識となりつつあるようです。
「平成7年に改定「離乳の基本」が厚生省から発表」
http://www.wakodo.co.jp/news/at06.html
天然のタンパク質分子は、一定の立体構造を持っています。殺菌や調理などによって加熱すると、その構造が壊れます。この現象をタンパク質の変性といいますが、変性したタンパク質はアレルゲンとして性質が減ると考えられています。離乳期に赤ちゃんに与える卵は、かたゆでにするよう指導されるのはそのためです。
蛋白質をとりたいのなら、魚をつかってみてはいかがでしょうか。「しらす」は乳児でも食べやすいですね。それから、「でんぶ」もお子さまむきです。牛乳に期待するのは蛋白質とともにカルシウムですが、これも魚からとれます。さらにひじきや小松菜もカルシウムが豊富です。
逆に、こういったアレルゲンとなるような分子の大きい蛋白の腸管からの吸収を阻害するお薬もあります。小児のアレルギーで最も多く使われる「インタール」というお薬(内服)を食前30分に飲むと、腸管壁の粘膜に作用して、アレルギーの原因となるタンパク質の吸収を抑えて、症状の発現をかなり抑えられるというものです。
話はそれましたが、結論を申し上げるならば、上記のような理由で、やはり腸管の未熟な0歳から2歳までくらいのお子さまには、アレルギー体質の根を深くしないためにも、卵・牛乳・大豆といったタンパク質は、あまり早めにあげないようにした方がよいでしょう。離乳食自体を遅らせた方がよいというのも、同じ理由であり、与えるとすれば、野菜や魚といった比較的抗原性の低い食品から、なるべくゆっくり始められるのが良いかと思われます。
現在のアトピー治療に確立されたものはありません。一人一人、原因も症状も違うのがアトピーです。ある人によかったことが、他の人には悪いことだってあります。うわさに踊らされた素人判断は危険です。お母さんの仕事はまず食事を変えることです。生活全般を見直すことは、結果が出るのに時間がかかるようですが、実は一番の早道なのです。アトピーはお母さんがなおしてあげられる病気なのです。