
![]() | 背中ものがたり |
| 人と人の間で−−−交流分析より | |
| 自分の居場所−−−寿限無より |
男の哀愁を背中で物語る石原裕次郎というわけでもありませんが、人の背中は確かに何かを訴えかけてきています。
図1
皆さんも心当たりがあると思いますが、例えば睡眠不足を続けると頸肩の筋肉が張ってきます。図1の@Aのところです。飲み事が続いて、背中の肩胛骨の内側あたり、図のB付近が妙に張った経験をお持ちの方も多いでしょう。胃潰瘍になったとき、胃だけではなく、図のCのあたりも痛くなった人もいるでしょう。別に重たいものを持ったわけでもない、無理な姿勢で何かをしたわけでもないのに、腰、図のDあたりが最近どうも重いという人の中に、ここの所座り仕事ばかりで歩くのが極端に減っているという人はいませんか?図のEあたりが疼く人、便の調子が狂っていませんか?
こうやって、背中の筋肉が訴えかけてくる言葉に耳を傾けてやると、自分では自覚できていない体調が分かることもよくあります。
但し、人間は環境変化に対する適応力を持っています。暑い・寒い・痛いなどの刺激も長期間継続すると「慣れ」てきます。また、そうでないと生きるのがとても辛くなります。刺激に慣れるということは、感覚が鈍ることを意味しています。“健康教室 疲れについて”でお話ししたように、根性で身体に鞭打って頑張って生き過ぎると、身体の疲れに対して感覚鈍麻を起こしてしまいます。理髪店で肩のマッサージをしてもらうと、自分では肩がこっていると感じていないのに、「お客さん、疲れてありますね。」と毎回声をかけられる人は要注意です。かなりの感覚鈍麻を生じている可能性があります。
身体の訴えは、「少しは身体をいたわって、生活を改善してくれ。」という注意信号だと考えていた方が無難です。注意信号の内に善処しておかないと危険信号に変わってしまいます。場合によっては、手遅れにもなりかねません。
自分の身体が訴えかけてくる声に耳を傾けることで、今の自分の状況を知りましょう。
具体的な方法については各論で触れたいと考えています。
どんな人にも長所があれば短所もあります。
例えば、“決断が速い”ということを考えてみましょう。一般的には長所として評価を受けていますが、得てして決断を急ぐ必要のない時にも速く結論を出そうとしてしまいます。そうなると“決断が速い”ことは“せっかち”ということになってしまします。
このように、自分の性格的な要素にはすべて、ある時には長所となり、ある時には短所となる、という長短両面性があります。
自分の性格を知り、自分のいる今の状況下で、それが長所として働いているのか、それとも短所として働いているのか、それを知って生きることができれば、随分と楽になります。
人間関係で迷いが生じた時、その原因を示唆してくれると共に解決法まで呈示してくれる心理テストが、“交流分析”です。自分の今に興味のある方は、テストを受けてみて下さい。
交流分析では、大きく二つに分けて、今の状況を分析します。
一つは、自我構造の部分です。一個人は、大きく分けて、親としての自分・大人としての自分・子供としての自分、の三つに分けられると交流分析では考えます。現在の自分がそれらの三要素のどういうバランスで成り立っているかを考えます。そして、それをグラフ化したものが、“エゴグラム”です。
もう一つは、人生の基本的な構えの部分です。自分や他人を、肯定的に評価しているか、否定的に評価してしているか、によって社会の中での生き様が基本的に変わってくると交流分析では考えます。それをグラフ化したものが、“OKグラム”です。
自我構造(エゴグラム)
図2に自我構造の基本要素を示しました。交流分析では、自我構造の基本要素を、親としての自分・大人としての自分・子供としての自分の三つに分けるます。そして、親の部分を更に、父親(批判的な親)と母親(保護的な親)とに分けます。また、子供の部分を更に、天真爛漫(自由な子供)と従順(順応した子供)とに分けます。
テストをやってみた方は、図3のエゴグラムの各要素の目盛りの得点部分に印を付け、折れ線グラフを作ってみて下さい。
交流分析では、構造要素のバランスを観ていきます。
先ずは、親(P)の部分が強いのか、大人(A)の部分なのか、子供(C)の部分なのか。また、Pの中でも批判的な部分(CP)なのか、保護的な部分(NP)なのか。Cの中でも自由な部分(FC)なのか、順応部分(AC)なのか。
周りから何となく自分は疎まれているのではないかと感じていて、エゴグラムで CP が優位な場合があるとします。
この様に自分の置かれている状況の原因を示唆してくれるのですが、交流分析の素晴らしい所は、それだけでなく、次のステップ、「では、どうしていけば良いか」をも教えてくれる所にあります。
一般的には、CP が高い所が問題なのだから、それを下げようとしますが、交流分析では、NP を上げてやることで、相対的に CP が目立たなくなるという方法を教えてくれます。
禁止・抑制による自己否定によるのではなく、補完・育成による自己成長により問題解決を図ろうとするのが、交流分析です。
詳しくは、章末の参考図書により勉強して下さい。
図2
図3
人生の基本的な構え(OKグラム)
産業医として種々のトラブルと関わっていて、その人が周囲のアドバイスなど耳も貸さず、自分で自分を追い込んでいくさまに時々出会います。いわゆる、性(さが)・業(ごう)と表現されることだろうな、と悲しくなることがあります。そこから抜け出すには、自分自身がその状態に気付き、そこから抜け出す努力を始めるしかありません。しかし、その“気付く”ということすら至難の技だと感じています。
自分が絶対に正しい筈なのに、どうもおかしい。周りがこぞって自分を抑えようとする、反対する。
そういうときは、交流分析テストを受けてみて下さい。図4に示したOKグラムを見直してみて下さい。周りの人はあなたのことを思っていてくれるからこそ反対してくれているのかもしれません。
自分自身(I)をどう評価しているか、他人(U)をどう評価しているか。+評価なのか、−評価なのかで、図4に示した四方向の人生結末のどれかを選ぼうとするときがあります。テスト結果で、I+とI-のどちらが、U+とU-のどちらが点数が高かったか、その組み合わせで判定します。
図4
参考図書
“ふれあいの心理学”,桂 戴作・杉田 峰康 共著,潟`ーム医療(東京都豊島区)発行
日本が国際競争に負けないために、産業界そして行政も常に自己変革を迫られる時代へと突入しています。
自己変革は生き残るためには当然必要なことです。でも、自己変革は疲れます。疲れたときは、ちょっと休憩する勇気も持っていて下さい。休んでバランスを取り戻して、さぁ、挑戦を再開しましょう。
憩い場所を示唆してくれる心理テストとして、中高年の生きがい再発見テスト“寿限無(じゅげむ)”、というものがあります。
じ:自立して、ゆ:愉快に、げ:元気に、む:無理なく。これら中高年の充実した生き方を現す言葉を組み合わせて、“じゅげむ(寿限無)”と命名されたテストです。
図5にありますように、達成傾向−安楽傾向、親和傾向−独自傾向の二つの尺度で評価し、自分が本当はどのような生活を送ることを理想としているのかを示唆してくれます。
各傾向の代表的な行動様式は、次のようになります。
| 達成傾向 | 常に向上心を持つ | 限界に挑戦する |
|---|---|---|
| 何かをなしとげたい | 中途半端が嫌い | |
| 安楽傾向 | 無理をしない | 気楽に過ごす |
| 自分のペースを守る | 煩わしいことを避ける | |
| 親和傾向 | 友人との交際を好む | 協調的に生きる |
| 争いやケンカがキライ | 孤独を避ける | |
| 独自傾向 | 人に煩わされたくない | 自律的に生きる |
| 自分の信念を大切にする | 一人でいることを好む |
図5
各タイプの特徴は次のようになります。
| いきいきタイプ |
行動の目標を立て、それを成し遂げるために困難に打ち勝とうと努力を惜しみません。 常に向上心をもつことに価値を置きます。 友好的で、協調的で、他の人々と一緒に過ごす社交的な生活も望みます。 |
|---|---|
| ちゃくちゃくタイプ |
自分の信念を貫くためには、どの様な困難があろうとも努力を惜しまない、意志の強い人です。 常に自分の中に向上心を抱いています。 理想に向かって、人に煩わされずに孤高を楽しむといった個性的な生活を望みます。 |
| にこにこタイプ |
自分のペースを守り、無理をせず、ゆったりとした快適な生活を送ることに価値をおきます。 友好的、協調的な関係を維持したいとの気持ちが強く、仲間・友人とともにいるという生活を望みます。 |
| ゆうゆうタイプ | 無理をせず、自分のペースにあったやり方を望み、人に煩わされることのない自分のための生活を大切にします。 |
どのタイプが善い悪いではありません。自分らしい、自分が理想とする生き方はどういうものなのか、なのです。
自分の居心地の良い場所を知った上で違う場所に挑戦するのと、本来の自分を見失った状態で違う場所に挑戦しているのとでは、後者は休憩場所を知らないのですからとても辛い挑戦になってしまいます。
中高年の生きがい再発見テスト“寿限無”に関しましては、次の所にお問い合わせ下さい。
西日本新聞社 情報開発センター システム開発部
サクセスフル・エイジング研究会 TEL(092)711-5535
〒810 福岡市中央区天神1−4−1