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産業医活動

日本医師会認定産業医研修会
(基礎:後期1単位 生涯:更新1単位)
平成9年1月24日 於 福岡市医師会館 大講堂

産業医制度について
日本産業衛生学会専門医
山浦 隆宏

産業医とは
     産業医活動の意義
     産業医の法的基盤
     産業医の職務
     産業医の権限と義務
     産業医の資格

産業医活動の支援

福岡県における産業医契約













産業医活動の意義

産業医とは職場で働く人々が少しでも健やかに少しでも生産性高く少しでも長く労働できる状態を作り出すことを医学的側面から援助する医師のことをいう。

人類史上かつてないスピードと水準で進行している超高齢社会の健全さを保つためには、健康なとき(労働できている時期)をいかに過ごしてきたかが大きな問題となる。その意味から、“突然死”・“過労死”などが社会問題化する現在の日本の状況は、超高齢社会に突入していくにあたって十分な準備ができた状態にあるとは言えないであろう。

従来は、労働者の健康は労働者自身並びに雇用者の責任であり、それを医師が支援するという立場が基本的な考え方であった。しかし、上記の状況から、国民一人一人の生涯を通じた保健が重要であるとの認識が高まり、産業保健領域でも法改正を伴わせて十分な保健活動の展開が可能になる環境づくりがスタートした。

また、“かかりつけ医”機能の強化を考えるとき、8〜10時間のストレスフルな労働の実態を知っているか否かが医学的判断・指導に与える影響は無視できないものがある。産業医として企業に関わることは、対象者の人生時間のほとんどを把握した上で判断できるということの強力な一助となる。これは、医師−患者の信頼関係の更なる強化に繋がると思われる。


産業医の法的基盤

 事業者は政令で定める規模の事業場ごとに、労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という。)をおこなわせなければならない。(労働安全衛生法第13条 第1項)


産業医の選任の必要な事業場

 常時50人以上の労働者を使用する事業場(労働安全衛生法施行令第5条)


事業場の規模・業種による産業医の選任形態 (労働安全衛生規則 第13条)

事業場規模
産業医数
産業医の選任形態
50人以上
1人以上
嘱託でも可
有害業務 500人以上

一般業務1,000人以上
1人以上
専属
3,000人以上
2人以上
専属


産業医の重点配備の必要な有害業務 (労働安全衛生規則 第13条 第2項)




産業医の職務

以下に示す事項の中で医学に関する専門的知識を必要とするもの (労働安全衛生規則 第14条 第1項)

総合対策

健康診断の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するために必要な措置
健康障害の原因調査及び再発防止措置

職業病対策

作業環境の維持管理
作業管理
衛生教育

成人病対策・健康増進

健康教育
健康相談


産業医の権限と義務

産業医の権限
事業者の対応
産業医は、労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。 (労働安全衛生法 第13条 第3項) 事業者は勧告を受けたときは、これを尊重せねばならない。 (労働安全衛生法 第13条 第4項)
産業医は、その職務に掲げる事項について、総括安全衛生管理者に対して勧告し、又は衛生管理者に対して指導し、若しくは助言することができる。 (労働安全衛生規則 第14条 第3項) 事業者は、産業医が勧告・指導・助言をしたことを理由として、産業医に対し、解任その他不利益な取扱いをしないこと。 (労働安全衛生規則 第14条 第4項)

産業医の義務
事業者の対応
衛生委員会への出席事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
  1. 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策
  2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策
  3. 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るもの
  4. その他

衛生委員会の委員は次の者をもって構成する。

  1. 総括安全衛生管理者または当該事業場で統括管理する者
  2. 衛生管理者
  3. 産業医
  4. 労働者で衛生に関して経験を有する者
(労働安全衛生法 第18条)

事業者は、衛生委員会を毎月1回以上開催するようにしなければならない。 (労働安全衛生規則 第23条)

産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。 (労働安全衛生規則 第15条 第1項) 事業者は、産業医に対し、左記の事項をなし得る権限を与えなければならない。 (労働安全衛生規則 第15条 第2項)


産業医の資格

 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。 (労働安全衛生法 第13条 第2項)


産業医の要件 (労働安全衛生規則 第14条 第2項)
  1. 産業医の職務を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって労働大臣が定めるものを修了した者
  2. 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生であるもの
  3. 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、助教授又は講師(常時勤務する者に限る)の職にあり、またはあった者
  4. その他、労働大臣が定める者


産業医としての研修

次に定める学科研修及び実習により行われるものであること。(平成8年9月13日 労告80号)

  1. 学科研修は次の科目について40時間以上
  2. 労働衛生一般
  3. 健康管理
  4. メンタルヘルス
  5. 作業環境管理
  6. 作業管理
  7. 健康の保持増進対策
  8. 実習は、1.(1)〜(6)の科目について10時間以上

上記の規定に該当する研修として、次のものがある。(平成8年9月13日 基発第567号)

  1. 日本医師会の産業医学基礎研修(日医認定産業医)
  2. 産業医科大学の産業医学基本講座(産業医大ディプローマ)


産業医活動の支援

労働省
福岡労働基準局 労働衛生課Tel(092)411-4861
福岡中央労働基準監督署Tel(092)761-5605
福岡東労働基準監督署Tel(092)661-3770

産業医学振興財団

産業医科大学 産業医実務研修センター  Tel(093)603-1611

中央災害防止協会

九州安全衛生サービスセンター   Tel(092)271-0935

労働福祉事業団

福岡産業保健推進センター   Tel(092)414-5264

インターネット上での情報収集
労働省http://www.mol.go.jp/
労働省産業医学総合研究所http://www.niih.go.jp/indexj.html
労働省産業安全研究所http://www.anken.go.jp/index-j.html
産業医科大学http://www.uoeh-u.ac.jp/index.html
労働福祉事業団http://www.rofuku.go.jp/
海外勤務健康管理センターhttp://super.win.or.jp/~johac/index-J.html
中央災害防止協会http://www.wellmet.or.jp/~jisha/
労働科学研究所http://www.nira.go.jp/tt-home/isl/isl-idx.html


福岡県における産業医契約 福岡県医師会の基準(平成2年10月26日)

産業医契約月額基本料金

原則月1回は事業場へ出務することとする。
有害物取扱事業場の場合は、下記の金額に\10,000を加算する。

月額産業医基本報酬 = \40,000以上 + 従業員数×\200以上