今月へ

2005 12月分

[風に乗って転がってきた]

12月24日
 ものすごい勢いで明るいものが転がってきた。光をためてやってきたのはペットボトル。
路上の黄色いペットボトルのことを書いたことがあったのを思い出す。あのときはC.C.Lemon。
黄色いペットボトルと路上って、何かいつも気に掛かる。ちいさな出来事だけどこの水を打った
路面の少し傾いでいるところで、私の目の前に転がってきた光る黄色いペットボトルと出会う
ことは、一回性のもの。その一回性が積み上がってとこかで響く。
 それにしても風がつめたい。
 つい厚着をしてしまう。若いアルパチーノの主演する『スケアクロウ』では相棒のマックスが
ものすごい厚着をしていた。心が寒いからいくら着ても暖かいと思えないのだ、ということを
マックスが言っていた。最近DVDになった『スケアクロウ』を見て、あっ、ここが中心だったの
か、と感動したのだった。

 あ、きょうはクリスマス・イブでした。従妹から真っ白なチャペルが銀の背景に浮き上がる
凝ったクリスマスカードを送ってもらった。サンタが入り口を入ってゆくところで後ろ向きに
なっている。
えっ、後ろ向き?と思ってよく見ると、銀の背景が鏡になってサンタの笑顔が見えるのでした。



[冬の梢]


12月21日
 たくさん実がなっていて、意外と冬の梢は豊かなのだった。準備はこんな寒さの
なかから始まっている。通りかがり家のサザンカも輝いていた。


[朝 カーテンを開けた]

12月18日
 朝、カーテンを開ける。溢れる陽ざし。
 眠っているのに目が醒めているようなひとときに、金色の光はやってくる。
 清々しく、ゴージャスだと思う。無意識に影を撮る。

 きょう、詩学の投稿の詩を読んでいて、いえ、読ませていただいていて、あっと思う
出逢いのような作品に、とてもこころが解かれるような幸せな気分にして
もらえることがあった。やっぱり、他のジャンルの作品では味わえない、詩の言葉
の可能性だろう。詩のことばはクオリアの塊のようなもの。書いてある内容が
たとえ困難や不安や苦しみでも、言葉が輝き浮き立っている、ということがある。
書いた人の生の躍動感がある。生きてきたクオリアから言葉浮き立っている。書くこと、
そのことが、その人が、考えいてることなのだ。感覚の言葉でも、詩の言葉で考えて
いることなのだ。(画家なら絵筆を動かしながら描くことで考えている。音楽家なら音
で思考している。思考はなにも、論理的な言葉で書いたり話したりすることばかりを
さすのではないが、案外そういうことは忘れられている)だから、詩を読んだ開放感は
思考の開放感なのだとおもった。感情までも解き放たれる思考の開放感!!


 近況では、まだ体調が本調子ではなくて、のろのろと、やってます。
 見たいものも見にゆけない。いろいろ思うようにできない。とほほ、です。



[深呼吸]

12月14日
 きょうはとても寒かった。気温をみたら午前9時で3度。
 紅葉っていいな、と深呼吸ひとつ。

 このところ、体調とかいろいろあって更新が思うようにゆきませんでした。
(でも詩を書きたくなるから不思議です。)
 更新が滞って、ご心配かけてすみません。また、すこしづつ、続けます。
 みなさんも風邪などに気をつけて下さいね。

[ちいさな包み]

12月11日


詩  ちいさな包み


夢の中で目にして 忘れられないものはなんですか?

二日前の深夜、夢の中で白い封筒に、紙を折ったちいさな包みがいくつか入れられていました。
封筒は家族のだれかが手に持っていました。

それは何だと思いますか?

はじめは、お金かと思ったのです。10円玉とか 100円玉。
でももうすこし、軽いような感じがして、その包みは
薬かも知れないと思うようになりました。

どうしてですか?

紙で折った包みの薬なんてもうずっと昔のことだから
気に掛かったのは、紙の袋でした。
今日の昼、閑散としたところを、バスに乗っていると、
誰もいない舗道に紙袋を幾つもさげて百貨店を巡って買い物して歩いた
若い母と子どもの自分が歩いていて、もちろんずっと忘れていた記憶の像ですが、
あの頃が浸みてきて、

はやくよくなれ、
という祖母の声まで遠いところから聞こえてきました。
封筒を載せているのは厚い掌。そんな感じが湧いてきました。
厚いしっかりとした安心の手に、抱かれていた小さい頃が
ふと体のどこかから浮き上がってきて、

白い封筒が飲み込んでいる包みは
私を快復させようとしているのかもしれない。
私はどこか酷く弱っている、そのように思えてきました。
だから包みは薬ではないかもしれないけれど
快復
が関わっている と

包みを開けますか?

包みは、二日前の夢の中なので
開けられません。
だから
覚えているのだと思います。

どうしてですか?

開けられなくとも
いつかは 開く
包み隠さず 開かれる
そんな気配がするのです

花の蕾が 白い花を咲かせたのを目にしたとき
ふと
明るく気分が開いたなら  それが  その時
なのかもしれない

大きなことではないけれど

夢の中から

闇を潜って

明るく気分がひらく

その時


浸みてきている
記憶の水が 脈をうって 
夢の中から