今月へ

[小さい花花/(ジュ、呪文デスカ)]





9月26日
 歯医者で歯石をとって貰ってから家の用事であちこち寄って
気付くと、暑かった外気が、肌にひんやりする風へ変わっていた。

 「三月の呼吸」のDVDをニューヨークの佐藤紘彰さんへ送る。
翻訳をしていただいたまま、送っていなかったのは、音楽を
入れてからと思っていたからなのだった。でも、まだ音楽は
影も形もないので、出来上がりを待ってこれ以上遅くなって
しまうのはよくないと思い、きょう送ることにしたのでした。

 岩佐なをさんの『幻帖』にはため息が漏れてしまいます。
20の自作銅版画と詩のことばがぴったりで、独特の空間を
深めているからです。銅版画の10作くらいはフルカラー印刷。
憧れます。詩は呪文かも知れないという発想に、驚きとともに
どこか納得する気持ちがふたつながら起こります。


 (ふりむくと、なーい、ふふふ)
 (ふりむくと、いなーい、はひ)
 (ジュ、呪文デスカ)

  ※

 「詩とはこころざしですか」
 「実は、呪文ですか」
  殊に現代詩とは。 

  ※

  のぎく!
    のぐちはかせと
  まちがえて聞きがちなのだが
  本当はのぎくはくしなのであった
  精霊野菊の博士がもとめていたものは
  いまや墓にこもってしまった
  民さんや政夫さんのまごころではなく
  雪月花のものがたり、あるいは
  「断章でもかまわない」とのこと
  「断章は呪文でもかまわない」とのこと


[マツバボタンは"小さな扉"]

9月23日
 花壇をあかるませているマツバボタン。調べてみたらポーチュラカとも呼ぶようです。
ラテン語では"小さな扉"の意味だそうです。ほんとうに小さな明るさの灯った扉みたい。
花壇にたくさん小さな扉が咲いていると思うと何か楽しくなりますね。

きのう「もーあしび」15号の原稿を仕上げ、メールしました。
詩「蜂蜜を持って 青空の下」は先回の合評会の感想を参考に推敲して
過去の場面が入ることになったのです。
その詩のなかに、花の中へ吸い込まれてゆくと、花の中には
こどもの私や若い母がいるいろいろな時間の場面がある、とい
ような意味のことを書いたのでした。ここでは偶然にも花が
小さな扉になって過去の場面の入口を作っていました。きょう
出会ってマツバボタンを調べた偶然がなんだか面白いです。

岡島弘子さんの詩集『野川』を読みました。
この詩集には別紙に岡島さんの「野川と私」というエッセイが
あって、それがとてもよかったのでした。生活の中に野川を散歩
するようすが活き活きと描かれ、溶け込んで、そこで出会うさまざま
な生き物たちをみつめる言葉が心や記憶と繋がりあっているのでした。
ああだから、この詩集のこの詩があるのだ、と入り込んで読めました。


ブリングルさんのブログ
「言葉の足音 白い箱」のレポート前半!を詳しく書いてくれました。


[9/21毎日新聞 詩歌の森へ]


9月21日
 きょうもーあしび朗読会の記事が毎日新聞に掲載されました。
コンビニまで新聞を買いにいってきました。


会が終わってから、感想のメールをいただきました。ワークショップから
ずっと表現するということについて考えくださっていたのが判り感激です。
「つくらない会」ということについての「つくらない」とはどういうことなのか
私はその日、参加者の方に質問しました。

 確かに生活をしていることだけでも何かを作っていることで
つくらない、ということはない、ということはそうだと思うし、
自分も作ることを否定しているわけではないということでした。
社会的な暗黙の強制への敏感な察知があったことがわかりました。

「でもどなたか言われてましたが、「つくらない」というのはないんですよね。表
現者だけではなく、普段の生活でさえ、みんな何か「つくっ」ていて、でもそう
いうのを否定するわけじゃなく、自分たちもやっぱり作ろうとはしていると思い
ます。でも「つくる」ことを強制されたくない。今の社会はみんな「つくる」こ
とに戦々恐々としているみたいで、そんなのは嫌だなと。そういう意味での「つ
くらない」と。これも朗読会のときに言われていた「姿勢」みたいなものだと思
います。自然体でありたいのだと思います。」

この「姿勢」ということも議論のなかに出てきたことで、表現は人に判られるために
するものではない、ということではないか、そうしう「姿勢」が必要では、という
ところからきています。





[もーあしび朗読会のひとコマ]

ワークショップ「詩をひらく」では
ギャラリーの一つの部屋に参加型のコーナーを作りました。
そして二つの問いかけをして、答えを紙に書いて安全ピンで
壁の布に留めてもらう、というものでした。

「心に残っている詩がありますか?
 (作品名、作者名、詩の言葉でもかまいません)」
「今日あなたが詩を書くとしたら、どんな詩を書きますか?」

 


ドロシーさんは尺八の演奏とともに勢いよく詩を走らせ、留まり、うずまく言葉を
開く朗読。五十嵐倫子さんは詩集『空に咲く』から気分を出してやわらかい朗読が
ひろがってゆきました。辻和人さんは、きっちりと言葉を読み、動物についての詩
が聴かせました。

  
 
「3月の呼吸」のDVDをプロジェクターで白いギャラリーの壁に上映しました。
写真と言葉は別にしましたが、これは入れ替わるときに重なった一瞬です。言葉のところを朗読しました。
つづいて詩は詩集『青い影 緑の光』から「青い影 緑の光」「どの手が好きか」「クロエ」その他に
短歌誌ESに載せた「私も剥がれて」ともーあしび誌の「扉を押して」を朗読。
白鳥信也さんはギターとパーカッションの演奏とともに朗読。きょうのことを書いた
手乗りのマダカスカルゴキブリ、まったり君の詩など笑いの出る詩を読みました。

  
 

詩をひらく」では質問の答えを元に、ふだんは語れない詩のことを、話しました。
多くのご参加、感謝です。
布に留められたメモを読み上げると、参加者のうちの書いた人が
その説明をしたり、そこから参加者どうしの討議がはじまったりして、
とても活気がありました。主催する側がいちいち答えを返さずに
だれもがフラットに話しあえたことがとてもよかったと思いました。

詩人もそうでない人も言葉や詩について関心をもっていて、それぞれ記憶に
残る言葉をちゃんと持ち合わせているのですね。突然の問いかけに、詩や
芸術家の言葉や短歌など、ちゃんと書いてくれたので、実はとても驚きました。
開かれた場があれば、気軽に詩のことや、なにかを表現することについて
話したり、言葉を交わしたりしたいのだ、というのがとってもよく判りました。
みんな活き活きしていたのです。
それぞれの人がそれぞれ言葉への距離感を持っていて、ああそんなふうに
言葉を読んでいるのか、詩のことをそんなふうに価値をもって観ている
のだと、とても勉強になりました。

  


9月19日
 朗読会ではブリングルさんと内山昭一さんが受付を手伝ってくれました。
 みなさんに、言葉のおみやげも渡せてほっとしました。

光冨さんがウェブで感想を書いて下さいました。

詩のテラスでもワークショップに参加した川口晴美さんが書いてくれました。


[明日は、もーあしび朗読会]


お待ちしてます。
今日14日まで予約を受付てます。

スケジュールに少し変更があります。


第2回もーあしび朗読会(ポエトリーリーディング)
 言葉の足音 〜白い箱〜

開催日:2008年9月15日(祝)
時 間:13:00 開場、14:00 開演
会 場:新宿眼科画廊
    〒160-0022 東京都新宿区新宿5-18-11
    map
料 金:予約 800円/当日 1,000円(1ドリンク付き)

出演者:五十嵐倫子、北爪満喜、白鳥信也、
    辻和人、デイドロ・ドロシー (名前順)

♪チラシです【スケジュール】
 13:00〜    開場
 14:00〜15:00 朗読 第一部
         (泥C、五十嵐倫子、辻和人)
 15:00〜15:20 休憩
 15:20〜15:35 映像詩「3月の呼吸」DVD上映
 15:35〜16:20 朗読 第二部
         (北爪満喜、白鳥信也)
         (参加者のアピールタイム)
 16:20〜16:40 休憩
 16:40〜    わーくしょっぷ「詩をひらく」

※ギャラリーのホワイトキューブの一室で参加型の作品があります。
 朗読会場へ入場の前に展示室を見てぜひ参加していってください。

※わーくしょっぷは自由参加です。
 普段は語れない詩のことを、皆さんと共にお話する会にしたいと
 思います。

お土産もあります♪♪♪ 





島野律子さん。あおばさん。山中隆史さん。
通路の展示をご覧下さってありがとうございました。
また感想もありがとうございました。


[おだんごを持つ猫/4wheelsでの詩誌評]

9月10日
  清澄白河駅から現代美術館まで歩いてゆくとき、通った
 通りにはたくさんの案山子が飾られていました。
その中で、おだんごを持つ猫、がとてもすてきでした。

4wheelsでの詩誌評がアップされました。


[雫と速度]


9月7日
 小雨が降り出している。花には小雨らしくちいさな雫。しずかな誰も
いない公園のベンチの後ろの歌壇の花と、ベンチの前にひろがる芝生には
目にもとまらない速さでトンボが飛んでいた。

 ポエニークの4wheelsでの詩誌評をようやく書き上げる。
きょういとうさんにメールで送った。近々アップされるので
またそのときはリンクを張ります。



[花を書いた天井]

9月3日
カウンターに通されたパスタのお店。上を向いたら花を書いた天井から
ライトの明かりがまぶしい。ライトを花にみたてるこのお店のセンスが
好きです。
 

福間健二さんの映画『岡山の娘』の試写会で京橋へゆきました。
詩が数行あるいは1行でたくさん引用されていました。
ほんとは福間さんの詩の中の登場人物が、仮に岡山の地にあらわれている
というように感じました。
岡山の娘を演じた人の生身を感じられた苛つきや携帯で友達と話して
怒声をあげるところがよかったです。詩の朗読、ドキュメンタリー
イメージ、話の筋があるところ、エピソードなど様々な撮り方が
入混じった構成になっていて、細かく立ち止まらなくてはならない
映画でした。

福間さんの奥さんが私のビルの通路の展示を見てくださっていて、
面白い新鮮な展示だったと感想をいただきました。
近藤弘文さんが高知から実家の東京へ帰省された折に立ち寄って
くださったり、南原充士さんが再度みてくださったり、
坂輪綾子さんからは丁寧に感想のおはがきをいただきました。
ありがとうございます。