今月へ

2011/7

[詩 「ミケの頬ずり」]

7月14日

ミケの頬ずり
  

ミケが歩み寄ってきて
猫のまま私に頬をよせる

ミケの
押しつける柔らかい頬が
湖面の月のように揺れ
私の肌にしみこんでゆく

夢でも はじめてのミケの頬ずり

あの日 
キッチンのドアを開けると細い塀の隙間を縫ってやってきた 
はじめてみたミケの顔
消えない
まだ子猫の感じがあるのに 野良の厳しさが顔に出ていた
三角になっていた厳しい目つきで ドアを開けた私をみあげた
ミケの三角の目が可愛いさを削ぐ 
私も削がれて 刺さる眼差し
お腹がすいていそうだった

いったんドアを締めてから
家の沼のなかを泳いで
煮干しをもってきて投げ与えた
だらだら家の沼泥が腕をたれる
泥をたらし
ミケがくると煮干しを投げた 
ミケがいるかとドアを開けた

魚や肉の切れ端をあげ飼うという意識もなかったけれど
お腹いっぱいキャットフードを食べさせてあげることもなかったけれど
けっして沼泥の家に入らず
沼臭い手に撫させず

ちょっと離れてミケがいる 
洗濯物を干す私をミケはずっとみていたりする
尖ったままの猫の目で

ミケと私はちょっとの距離の両端となる
家の外で
半年たって
ミケとツーショットで写真を撮った

それを区切った
時間を切った
泥の溜まった背中が裂けた
沼のいやな匂いが出きると

青空に
すっくりと睡蓮が立ち
泥の中から立ち上がり
睡蓮の蕾が花を開くと
蕾のなかでは
ミケと並んで二つずつの目が前を見ていた
並んで正面を向いていた



[20110714 きょうの月]


7月14日
環七を渡りながら撮った月。とても大きく見えた。ただそれだけで
特別な時間になる。交差点を渡ってゆくとき途中に下を走る道路に掛かった
橋を渡る。その橋の上から撮ってみた。
もう午後7時に近い。ドラッグストアで買い物をした帰り。
遅くなってしまった。
それにしても暑い。動く量が減っていて、いろいろ不義理をしています。



[yellow]





7月12日
一日は黄色のなかにある

月はここ日本では黄色 
地球の反対側ではブルーになる月も ここでは黄色

太陽はここ日本では赤
なのに
ここ日本でも太陽の花と呼ばれながらヒマワリは黄色い
地球の反対側からずっと太陽の花のまま
やってきている
黄色な 太陽

月から太陽から月へ
一日は黄色のなかにある


[with book  01]
















7月6日
暑い夜に青い月

寝付かれないまま夢が畳に張り付いていた
四枚のカミを拾う
耳のような四枚をオアシスに差して 拝むと
みているまに書かれた白抜きの「白い」という文字が
パープルに変わってしまう 紫の白
騙されるとは色がとりかわってしまうことだと
目で相図するのはオアシスをささげもつ鏡の中の
私が顔色も変えないので
許せない雲が湧き包丁を握って
畳に落ちた一枚を突き刺す
振り下ろす動きと柄の堅さが
掌にのこって

昼過ぎに街へ出て
歩いてふらふらと入ったデパートのエントランス近くに
日傘の隣にブックスペースが差し出されていた
夢のように
流れる棚の目が出会ったのは400キロも離れた街にいる友達の名前 本
ページをめくりページをめくる
借りたままはいった上階のカフェ
ふと目を上げる

白鷺が ビルの屋上を飛び過ぎてゆく