村上天文同好会ホームページ
会報
「北天」
No.2 (1978年始め)
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☆皆既日食をねらえ 尾方重弘 P.2 ☆眼鏡観測の技術 近 亮 P.4 ☆月食撮影の技術 尾方重弘 P.6 ☆月食観測概況 尾方重弘.近 亮 P.9 ☆土星を見よう 近 亮 P.10 ☆支所だより(馬頭星雲にトライ) 忠美英 P.13 ☆星雲星団観測ガイド 近 亮 P.14 ☆支所だより(京都より) 佐藤秀子 P.15 ☆第1回登山撮影失敗記 平山 浩 P.18 ☆月食撮影の一例 天文ガイドより P.20 |
☆支所だより☆
馬頭星雲
昨年の暮れ、日時は良くおぼえていないが、朝から良く晴れて気温も上がり気持の良い日だった。当然、天気は夜まで崩れず日没とともにポッポッと星が輝き出してきた。私は、久しぶりの快晴に胸を踊らせて日の暮れるのを待った。しかしあいにく月明りだったので、しかたなく月の没する11時まで待って観測(観望の方が正しい)を始めた。 その夜の空は、昼めずらしく好天に恵まれたせいもあり私が観測を始めたその夜半頃には、昼間の天気がまるでうその様にしんしんと冷え込んできた。しかし逆に星の見え味は最高で、たぶんあんなに良く見えるのは、年に数回しかないと思うが。 私は半分本をたよりにめぼしい星雲、星団を次々に視野に入れては、その美しさに溜め息をついていた。途中、低温の為私の吐く息がアイピースにかかり、しばしば拭いては見していた。 その夜、沼沢君から借りていた84mm反射はその器態を十二分に発揮してくれた。オリオン座のM42も誇らし気に白鳥の翼をいっぱいに広げて私の目を楽しませてくれた。つづいて私は見えるはずがなかろうと思いながらも、馬頭星雲の位置している場所を三ツ星の一つh星のすぐそばの散光星雲は、ぼんやりと光る雲のように見えた。さて馬頭星雲はと思い天文写真を片手に、位置するであろうと思われる所で望遠鏡を止め、しばらくじ〜〜〜っと小さな視野を見つめた。・・・ しばらくしても、どうも”ぱっど”しなかったので目玉をきょろきょろ動かし視野の中をみまわしたり、見つめる位置を視野の中心からずらしたりしているうちに、ボャーっと細長い黒雲みたいなのがどうやら視野の中にあるのをみとめた。それから長々4〜5分間も同じ所を見つめていたら、やっと黒雲の中心あたりがちょこんとつき出て見えた為、これが馬頭星雲か・・・と内心、その夜は明け方近くなって曇り出したがそれまでの間すみきった夜空をたっぷり堪能した。指合支所 忠 美英
☆支所だより☆
〜京都〜
今つくづく新潟に居る皆様方をうらやましいと思います。私も新潟に居た時から、今程熱心に星を観測していたらなぁと思います。 今私の住んで居る所は、京都の宇治市です。皆様も宇治平等院や宇治茶でよく御存知のことと思います。比較的静かで、特別に公害に悩まされる事もなく、住み良い所と言えるでしょう。(一般の人にとっては) しかし、いったn夜になりますと、北天から更に西〜南天へと光害にやられてしまうのです。東は幸い光害はないのですがどか〜んと山が連なっているのです。それほど高い山と違いますので、大きな山害とはならないようです。 位置的に言って大分南ですので、光害がなければ南天が低い所まで見えるようです。それでもま負けずに双眼鏡で星雲、星団の観測をしています。今の所、本当に星雲、星団の位置そして姿確認程度です。天文の専門用語なども全然わかりません。でもこれから、ぼちぼち勉強するつもりです。 毎日々、星を気にして空を眺めます。1月の中頃は数日きれいな星空が見えたのに近頃は、良く見えません。そこで先日11日の日は、とにかくきれいな星空が見たくて、近くの青少年科学センターへプラネタリウムを見に行って来ました。学校では何度か見ましたがこのような大きななのは始めてだったので感激しました。でも小学生対象なので解説はとても分かりやすいものでした。(私にはちょうど良いでしょう)そして少し満足して帰った訳です。 次の日12日も休みだったので計画では、明石の天文科学館へ行こうと思っていたのです。しかしその計画は中止、それでは私の気がおさまらないもで次の休みにと予定しました。それが明日(16日)なのです。でも今でも迷っているのです。原因は、お金がないことなので、今度の給料もらってからにしようかなとも考えているにです。明石天文台に行くのは私の夢の1つなので必ず(いつか)行って来ます。行って来たらまたいろいろ報告します。 それから京都には、花山天文台という有名なものがありますがこの間行こうと思って資料を調べましたら、京都大学付属のため、関係者以外立ち入り禁止ということで行くことは出来ませんでした。遠くからドームを眺めるだけです。 時間が過ぎるのは早いもので数日後になりました。16日には、明石天文科学館へ行って来ました。明石についた感激忘れられない。明石から山陽電鉄に乗り換え、1分少々で人丸前に到着駅で前へ行くのか、後ろへ行くのか大変迷った結果駅前の地図を見て後ろへいくのだろうということになり、後ろを見るとそこには大きな科学館が見えているのだった。ハハハ おかしくて一人で笑ってしまいました。そこから2、3分進むと入り口、入り口まで行って大きな建物を見て、ほっと一息、その時でした。目の前が真っ暗。急に雨雲が・・・とか、夜になったわけではないのです。入り口の大きく2月の28日まで”休館”アリャリャンリャンというわけでたいへんなショック。仕方なしに建物の回りを一回りして、子午線を見て、後の柿本神社に御参りして明石の駅に帰って来ました。そこで1つ気付いたこと、すでに明石の駅から、科学館がりっぱに見えていたこと。ハハハ 3月にはいったらさっそく又行くつもりです。 その休館の訳は、プラネタリウムのドームの修理だそうです。追伸 先日大阪の電気科学館に行く事になっていました(教習で)すると、前日から風邪をひき熱をだして休み(みじめ)そこにも大変りっぱなプラネタリウムがあるのです。今度行ってくるつもりです。
京都支所 佐藤秀子
第1回 登山撮影の失敗記
昨年11月12日(土)私は友人K氏と前々より計画してあった登山撮影会(と称する)に行ったのである。 立川駅でのりかえ、青海線で目ざすは棒の嶺。この辺より中学生のガキやら、50ガラミのオッサンなどがテレスコを背中につけてドヤドヤいる。そうだ、今日は新月だったのだ。いやはやいるいる。なんといっても決定打となったのは、10cm位の短焦点と赤道儀らしい物の入った木箱、そしてカメラバックの上に何やら重そうな器材の入ったザックをカリマーのショイコ(登山用の有名ブランドだ。)につけてヒーヒーいって、どたどた重そうな登山靴を履いて電車に乗り込んだ人。 さて、我々に器材、ペンタックスSVに105mmと50mmのレンズ。MARK−Xのベースモデル、あとは防寒具と、あと吉田カメラのボロ(スーパー)双眼のカタワレ。山へ行く前、K氏と『おい、ラジウス(石油コンロ)はどうする?』『重いなぁ。やめた。』『おい、シェルト(軽量なるビバーグ用テント)はどうする?』『いらへん。シュラフ(寝袋)だけで平気だ。』『霜よけカイロは。』『カイロなんかあらへん。』『食料はそうする?』『おまえの彼女に、にぎり飯つくらせるんやろ。(さてこれはどちらの彼女か?)』『いや彼女は今日用事だ。パンですませよう。』てな具合であります。 天ガで東京の人がよく撮影地に、御岳(みたけ)でとったものとして写真で入選していますよね。我々も御岳へ行くつもりだったのですが、あそこはケーブルがあり登山という名にそぐわないと考えあえて多摩川をはさんで、御岳と対する棒の嶺に行ったわけです。 さて、御岳駅でガキやら、オッサン等がドタドタおりたあとを二人さびしく、そしてフィルムアイピースの落とし物はないかと思い、ジロジロ見つめ我々は、もうひとつ先の川井駅へ。なんとここは無人駅。東京都にもこんなへき地があったのかと思わず、ただただキセルしたことへの感激から足どりも軽く進んだ。 途中、『おい、あそこの畑のまん中いいぜ。』『そうか、空もよくみえるぜ。』こんなことを話しつつも、いやバカな2人はついにその畑へ行ったのだ。人家の前を通りそして犬にほえられつつも。でも、その畑にはかこいがあって入れない。『あーあ。』といいながらやっぱり棒の嶺まで行くかというんで、たっぷり遊びつつも『ちんたら』行ったのです。しかし、二人は午前中は講議に出ていたので、この辺で暗くなりました。大変。山道になり、1時間30分も登ってから『おい、道まちがえたんではないか。』『そんなことはないだろう。』『いや、違う。』こんなことをしていても足は上へ向く。ついに着いたぞ棒の嶺。あーあ、あーあ、メシ食うぞ。あーあ寒いなぁ、寝ようぜ、そうだー休みしてからだなぁ。シュラフに入ってしばらく空を見ていた。寒い。たかが1000mの山とはいえ、すでに初冬、シュラフの表面は霜がつく。もうだめだ。雲もでているし、寝るぞ、と言ったのは8時30分ごろか。もうなんの未練もなく寝た。途中何回も寒くて目がさめた。満天の星。しかし寒くてだめだ。こんなことをしているうちに、夜は明けた。あーあシュラフは真っ白。霜柱がすごく伸びている。ポリタンクの水は凍っている。なんのための山だったのだろう。私のマークXは、寒さに耐えた。しかし、一緒にマークXと外に出しておいた3Vは死んでいた。また吉田カメラ(かつて村上市内にあった小さなカメラ店で、数年後に閉店し、現在は存在しない。印画紙を買うときに「何枚入りですか?」と訪ねたら、中を開けて数えてくれたことで知られる。)のすごいガイドスコープは、やはり、いや当然のことだが死んでいた。K氏も死んだかと思って、『おい。』と言ってみたが返答なし。一発『へ』をかけたらパッと目を開いた。『くさい!』そして、二人で笑った。いやこれは二人の寒さに負けた情熱への嘲笑なのであった。K氏はおかげでかぜをひき、とんだ失敗だった。『来年は夏にしような。』『うん、やっぱりそうやなぁ。』と一言かわしただけで、それぞれまたねた。起きたのは、日も昇り登山者が来て、我々をのぞきこんでいってからだった。二人はいそいそとその場をひきあげた。『来年は夏にしようぜ。』と言ったけどもう今年になった。みなさん、夏山で星を見に一緒に行くんだね。
棒の嶺は奥多摩にある山で、ほぼ360度の観望ができます。それでも大都会tokyoから近いので満天の星が落ちてくるほどの星空は望めません。しかし、しかしながらやはり指合と肩を並べるほどの空だ。僕は北アルプスの3000mの上空の星空を知ってからは俗世界の星は感動の的ではない。
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