RPG・厳しさのランキング

RPGを語る上で、まずこの点にふれておきたい。

私は、3大RPGといえば、

の3シリーズであると思っている。その中で、自分にもっとも適しているのがファイナルファンタジー(以下「FF」という)であるわけだが、これらの特徴というか、それぞれのシステムの特徴から必然的に導かれる帰結として、ゲームの厳しさがランクづけられる。

まず、ドラクエ(以下「DQ」という)は、ズバリ、初心者向け、というか、RPGについてまったく知らない層をいかにこのゲームに引き込むかということに重点を置いている。ゲームシステムの厳しさを最も端的に表す指標として、「死」の概念の扱いがあるが、これがじつに甘い。はっきり言って、所持金を半分奪られて直前セーブ地点に戻されるだけなのだ。「命を金に換算する」との批判を呼んだ一つのゆえんである。しかも、冒険の途中で入手したアイテムは一切なくならないので、重要アイテムがある場合など、少々レベル不足でも、片道燃料(行きの冒険くらいはもつだけのHP・MPで目的地に向かうこと)で、アイテムさえ手に入れれば、街まで苦労して戻らずとも、帰りに適当なところで全滅して街に戻るという、いわゆる「全滅帰り」という横着な技が使えたりする。少々の報酬でわざわざ敵が街に返してくれるわけだ。これは、シリーズ4で、「てつのきんこ」が登場すると、さらにお得になった。

次に、FFだが、これは、パーティの全滅=それまでが「なかったこと」になるというもので、特に重要アイテムを入手して、セーブしていない状態だと、非常に口惜しい。まあ、このくらいが程々でいいのでは、という気がする。なお、このシステムの場合、全滅の瞬間に悔しまぎれにリセットを押すのは早計である。シリーズ3のボスキャラ・「くらやみのくも」戦(第1次)は、ストーリー上絶対に勝てないが、私はここで3回以上「悔し紛れリセット」の愚を犯し、一晩を無駄にした。完全に初期画面になるまで、しばらく静観すべきである。

最後にウィザードリー(以下「WIZ」という)だが、これはめちゃめちゃ厳しい。何しろ、全滅すると、パーティは死体になってその場に置き去り、別働隊が拾いに行かないと生き返らせることもできないのだ。このシリーズ(ファミコン版の2「リルガミンの遺産」だった)をはじめてプレイした時、いきなり墓が画面に現れて、「なんじゃこりゃー!」と思ったものだ。しかも、「死」の究極である、「ロスト」というものまである。つまり、蘇生は基本的に成功率100%ではなく、失敗すると、「灰」になり、灰からの蘇生にも失敗すると、「ロスト」し、そのキャラは永久に失われるのだ。キャラを育てるのが楽しみなRPGにおいて、これは最も残酷な仕打ちである。他にもこのゲームのシステム上の厳しさを表すものはあるが、それは次の項で。

RPG最強のボスキャラは?

DQの「竜王」・「ハーゴン」・「シドー」・「バラモス」・「ゾーマ」、FFの「カオス」・「パラメキア皇帝」・「くらやみのくも」・「エクスデス」など、大ボスは、倒すのにそれなりに苦労した。中ボスでも思い出深い名勝負はある。

しかし、最強のボスキャラを挙げるとすれば、迷わずワードナであろう。これは、WIZの第1作の大ボスで、伝説的な存在であるが、その戦力を列挙すると、

とくに最後のがすごい。クリティカルヒットやエナジードレイン(4レベル)まで含むのである。WIZのクリティカルヒットは、FF(DQでいう「痛恨の一撃」程度のもの)とはわけが違い、首をはねられる、すなわち即死なのである。しかも、苦労してキャラの能力を育ててきたものを、まっすぐレベルを落とすという荒業で無にされてしまうのだ。私はワードナとの初対決で、いきなりマイキャラが「くびをはねられた。レベルを4さげられた」という目にあうのを目の当たりにして、思わずリセットに手が伸びていた。もともと私は、「Aボタンよりもリセットの方が押す回数が多い」とまでいわれたほどリセット依存症なのであるが、それにしてもワードナ戦はショックだった。

FF最大の革命・その功罪

FF最大の成功は、シリーズ3から採用された、「召喚魔法」システムであろう。もともとグラフィック重視の作りであったが、このシステムの採用でさらに磨きがかかった。DQシリーズを事実上凌駕した瞬間であろう。

さて、この「革命」ともいえる召喚魔法のシステムであるが、一方で「黒魔法」を色あせたものにしてしまったという問題がある。FF3の終盤に黒魔法(「メテオ」「フレア」など)を常用した人はあまりいないのではないだろうか。とくに「賢者」にジョブチェンジしてからは、召喚魔法と白魔法のみ装備した方が、効率的である。同じレベルならば黒より召喚の方が威力があるし、闇の世界の手前までは、まず「アイスン」・「スパルク」で十分敵を全滅させることが可能である。

この召喚魔法のシステムは、シリーズ4以降も採用されたが、あまりに大きすぎるその威力を落とす方向で改訂が加えられた。シリーズ6に至っては、各戦闘時に1回しか使えなくなっている。たしかに、シリーズ5のラスボス戦は、全員「ものまね師」になって「バハムート」連発で楽勝だったからなあ…。

ズバリ、FFベストゲームは?

FFシリーズの中でベストは?というと、たいていの人が7を挙げるだろうが、実は私はプレステを持っていないのである。ここで一言いいたいが、そもそもハードの性能が上がればいいゲームができて当たり前である。とりわけFFシリーズのように、グラフィックで勝負するものについてはその傾向が大きいのはわかる。しかし、スクウェアは、かつてファミコン(スーファミでなく)で、あれだけすばらしいものを作った会社であり、ハードの性能に頼らなくてもいいゲームを作る実力はあるはずである。その意味から、プレステ転向は私には納得がいかない。スーファミの時はガマンしたが、あの時だって、発売間近だった「幻のFF4」を急遽発売中止にして、スーファミ版で4を出したのだ。私は意地でもプレステは買わないつもりである。スクウェアさん、少ない資源を工夫し活用してこそ、本当の優れた技術というものですぜ。

というわけで、私が知るかぎりのFFシリーズ・ベストゲームを挙げたい。

FF3は、いろいろな意味で革命的なゲームだった。召喚魔法はもとより、斬新なジョブ・飛空挺システム…。ジョブでいうと、「学者」が秀逸で、「魔道士ハイン」戦は、シリーズ最高の名勝負の一つといってよいだろう。「バリアチェンジ」→「みやぶる」の展開になんともいえぬ緊張感があった。バリアチェンジについての余談になるが、召喚魔法はバリアチェンジに関係なくダメージを与えられるということだったが、エウレカでは、召喚魔法をバリアチェンジで防ぐモンスターが出てくる。飛空挺でいえば、唯一山越えができる飛空挺「インビンシブル」を入手した時の感激が今も忘れられない。「大砲の援護射撃」も意味がなくて好きだったなあ…。プレイしている者の士気を高める効果はあったが。

しかし、ベストゲームは3ではない。やはりストーリーの壮大さ、クリスタル伝説の説得力で、シリーズ1がベストではないだろうか。このゲームは、DQ2と時期を同じくしたため、陰に隠れてマイナーというイメージがつきまとうが、今思い出しても名作だったと思う。「人気のドラクエ、内容のFF」というにふさわしい気がする(でもDQも、RPG入門者には大変親切でいいゲームであり、DQをこきおろすつもりはない)。冒頭、いきなりゲームが開始してしまい、最初の中ボスであるガーランドを倒し、国王が姫を助けた礼に懸けた橋を渡った瞬間に始まるオープニングも、ものすごく新鮮だった。ゲームが進むうちに次第に明らかになる「4つのカオス」、土のカオス・リッチを倒したことにより200年早く火のカオス・マリリスが目覚める、意味不明の言葉を話すルフェイン人…。中身の細かいところまで、実に丁寧に作られた感じがする。北欧神話やギリシャ神話からとったキャラ・アイテム・モンスター名も感じが出ている。そして、4つのカオスを倒した後、ガーランドの宮殿に赴き、2000年の時の鎖を断ちきるべく決着をつけにいく。わかりにくいとの声もあったが、じつに壮大なストーリーであり、はじめは何が起きているのかわからない状態から、徐々に盛り上げていく手法は見事である。やはり原点のこの作品がベストなのではないだろうか。

あと、シリーズ全体を通しての魅力の一つとして、BGMのよさが挙げられると思う。ストーリーに加え、視聴覚に訴える魅力がFFシリーズの命なのだ。

 

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