ストリートファイター・ハンデ戦のすすめ

 ストリートファイター、ストリートファイター2、ストリートファイター・ZERO――。言わずと知れた対戦格闘ゲームの元祖にして、2D格ゲーの雄である。これらを総称して「ストリートファイター」(略称「SF」)と呼ぶことにする。


 SFシリーズで、私が最も好きなのは「ストリートファイターZERO2」である。スーパーコンボ、オリジナルコンボなど、適度に刺激もあり、かといってそう複雑でもない。無論基本はスト2(TURBOまで)の、通常技+必殺技のシンプルな体系であるが、ゲームの楽しみとしてはZERO2くらいが適度だろう。


 さて、この格ゲーであるが、出始めた頃の爆発的なブームを思えば、そろそろ下火になって来た感がある。そこで、起死回生の活性化策として、かねがね提案したいと思っていたことがある。それは、SFハンデ戦である。

 SFや格ゲーのプレイ人口が一定の範囲で限界に達してしまう一因に、対人戦であるがゆえに技量の差があまりに大きくつき過ぎ、入門者にとってきわめてとっつきにくいゲームとなっていることが挙げられよう。ゲーセンで格ゲーをプレイしている人たちは、ごく一握りの熟練者たちで、彼らは技量的に劣る新参者を徹底的に排除する。かく言う私も、対人戦の台には坐りにくい。とくに、敗れてとぼとぼと台を去る時に相手から投げられる冷たい視線が耐えがたい。「タコが、そんな腕で台に坐るんじゃねえよ」と言われているような気がしてくるのだ。

 そこで、私のもう一つの趣味である囲碁にヒントを得て、ハンディキャップマッチを考えた。囲碁は、日本でこそすそ野が広がらない悩みを抱えているが、世界的には着実に普及度を増しつつある(Yahoo Gameアメリカ版の「囲碁」を除いてみればわかる)。その要因の一つに、対局者の間にいかなる力量差があろうとも、等しく楽しめる「置き碁」というシステムがある。つまり、技量の劣る方が「置き石」として、石をいくつか盤上に置いて、そこからゲームをスタートするのだ。将棋で言う「駒落ち」と同じ発想である。

 この考え方を応用して、SFでも、ハンディキャップをもうけたらどうだろうか。一例を挙げる。

●1級差…下位者が1P・2Pの選択権を持つ(これって以外と大きいと思う。私は、「右昇龍」が苦手だ。つまり、2Pでスタートすると、めくるまで苦戦する)。

●2級差…上位者は、スパコンのうち1つを封印しなければならない。誤って禁じ手を発動したら5秒間タコ殴りを受ける(禁じ手タコ殴りについては、以下同様)。

●3級差…上位者はスパコン禁止。またはキャラを選べない(下位者が指定)。

●4級差…上位者はスパコン、オリコンのほか、必殺技1つ封印。

●5級差…上位者はスパコン、オリコン、必殺技一切禁止。

●6級差…上位者は、スパコン、オリコン、必殺技、ゼロ・カウンター、投げ技一切禁止。つまり通常技だけで闘わなくてはならない。なお、Zangiefでプレイする場合は、スクリュー・パイル・ドライバー以外の投げ技は禁じ手としない。

●7級差…上位者は、上記に加え、キャラを選べない(ダルシム指定などされた日には、上級者といえどもかなり辛い戦いを強いられるだろう)。

●8級差以上の場合は、力量差に応じて「スタート直後5秒タコ殴り」とか「10秒タコ殴り」とか適宜定める。

 たとえば、Ryu5段とKen2段の対戦だと、3級差になるので、Ken側は、スパコン禁止かキャラ指定を選ぶことができる。前者を選択すれば、Ryuは「真空波動拳」「真空竜巻旋風脚」を使えなくなるのだ。もし誤って発動したら5秒間タコ殴り。昇龍烈破(オリコン竜巻+昇龍拳小中大でもいい)でも食らったらそれだけでKOされかねない。厳しいルールである。また、後者を選ぶと、「3級差ですから、キャラ指定します。ザンギでお願いします」といった具合である。上手がRyu以外でプレーし慣れていないと厳しい闘いになる。急にスクリュー・パイルなどだせるかどうか…。これが5段対1級にもなると、波動拳すら使えないのだ。

 段級位については、公認団体を作る必要が出てくる。できれば、会員制にして、会員にはカードを発行し、ゲーム機にカードを挿入すると、自動的に相手との級位差からハンデを設定する方式がよい。そして、その段級位での対戦成績によって、昇級もしくは降級していくのだ。これならば初心者も楽しめるようになり、ゲーム人口のすそ野も広がるとともに、相当道を極めてしまい、敵なし状態にあった上級者も常に勝つか負けるかの緊張感が蘇ってくることになり、一石二鳥というものだ。

 まあ、余裕があれば、囲碁みたいに「感想戦」をやるのもいい。プレイ終了後に上位者が下位者を指導するような形で、「あそこで竜巻旋風脚を出したのは安易でしたね。ガードしてゼロカウンターを狙われる方がいやでした」とか、「ヘッドプレスを昇龍拳で迎撃したのはよかったですね。あれが確実に出せれば3段は卒業でしょう」とかやるわけだ。プレイ終了後は、下位者は必ず、上位者に対する感謝と尊敬の念をこめて、「ありがとうございました」と一礼する。もちろん、プレイ前には「お願いします」だ。黙々として殺伐たる雰囲気でプレイするより、よほど気分もいいと思うのだが、まあそこまでは無理か。


 

最初に戻る