特別企画「正義軍対極悪軍6人タッグ」
toubi・hiromistars・yamasaki_k組
       vs
happynobu・sn056jp・t_g_sabaki組

第1譜・全員悪役志願?

1999年10月10日 於「yahoo初級ラウンジ」
 白 正義軍(toubi・hiromistars・yamasaki_k)
 黒 極悪軍(happynobu・sn056jp・the_great_sabaki)…5目半コミ出し
 ※両チームとも、着手順にメンバー記載
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第1譜 9手(通算1−9)

 夢の対決である。sabakiが当HPでぶち上げた企画に、なんとtoubi・happynobu両巨匠が大喜びで乗ってくれた。
 「正義軍」は、toubiさんを主将に、hiromiちゃん、yamasakiさん、対する「極悪軍」は、「極悪師匠」happynobuさん(なんか「極悪」と「師匠」のアンバランスさが滑稽な異名である)、「必殺極悪人」sn056jpさん、そして「東洋の神秘」sabakiという顔ぶれである。対局前に、いきなりほとんどのメンバーが「悪役がいい!」とわがままを言いはじめたのには驚いた。しかしそれでは対決にならない。すぐにsabakiの提案どおりに2チームに分かれて無事試合開始となった。なお、snさんは、「僕は悪役じゃない!」と主張していたが、聞きいれられなかった。やむをえないことである。
 ルールは、順番に打つことのほか、「相談随時可能。ただし、具体的な着点(座標も囲碁用語も)は禁止」「主将は、ウケを狙った発言以外不可」というもので、事実上相談できない。対局中、「天元」などの囲碁用語も出たが、具体的な着点を指定するものではなかったので、なんとなく許しあっていた。
 しかし、チャットの内容がものすごく、棋譜だけでなく「話譜(わふ)」とでもいうものもとる必要があったのではないか、などとあとから思ったりした。そう、この碁は、むしろチャットによる盤外戦(場外乱闘?)にもかなりの重きがあったのである。その様子を、生観戦並みに再現できないのは残念である。


第2譜・崩れていくイメージ

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第2譜 9手(通算10−18)

 局面は、白の天元(1譜白2)をめぐって、双方の駆け引きが始まった。さっそく両主将から指令が飛ぶ。しかし、ルール上予想されたことではあるが、そのどれもがとんでもないものばかりなのだ。いわく、「天元取れー!」(happynobu)、「黒を全部取れー!」(toubi)など…。happynobuさんはともかく、toubiさんまでがこんな極悪な発言をするとは…!これではどっちも悪役だ。toubiさんのイメージが崩れていく…。
 右上は白地が多く、白有利なワカレ。しかし、黒もがっちり勢力を張って天元の白石に圧力をかける。白は7といったん自陣を固めて、後の逆襲を狙う。ここで黒8は、呉清源流。右上の勢力と連動している。
 「ころせー、ぜんぶとれー!」snさんの凶悪な声が飛ぶ。この人はやはり、悪役がはまりまくっている。
 白9。toubi主将の反撃である。さすがというべきだろう。こう打って、天元の石の働きを活かし、さらに2の下のハネダシを強調している。あわよくば、右上の黒一団から黒8の1子まで、まとめて攻めようとしている。
 「黒全部取りましょう!」なんと、yamasakiさんの発言である。あの、紳士だと思われていたyamasakiさんまでもが、このような極悪な発言をするとは!「正義軍」メンバーのイメージが、音を立てて崩れ落ちる瞬間であった。


第3譜・盤上もチャットも大乱戦

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├┼A○┼┼┼┼┼┼●┼┤
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第3譜 9手(通算19−27)

 黒1。当然のオサエコミである。対する白2も狙いの一手。これで白が一方的に攻められるという展開はなくなった。白4。欲張りな一手である。とりあえず取るものを取ってから中央を戦おうとしている。右上の実利とあいまって、黒に地合いでのプレッシャーをかけている。ここで黒5が、素人臭い発想の一手だった。右上と左辺の中間点をとって、なんとなく連絡した顔をしているが、どっこい薄い。白4の澄ましすぎをとがめて、黒8とシチョウにかかえてtoubiさんの一着を制してしまう一手だった。構成メンバーに棋力差がある連碁の場合、主将の打った一着を無効にしてしまうのが、ひとつのコツではないだろうか。この場合、さしずめtoubiさんが打った石を意識して取ってしまう―toubiさんの次の手番まで6手あるわけだから、不可能ではないだろう。左辺だけなら、いつでもAのワタリが用意されている。黒5のあたりの薄みを狙われ、極悪軍は当分苦しむことになる。
 しかしそんなものなんのそのである。「全滅あるのみ!」happynobu主将の号令がこだまする。「何の、成敗してくれる!」ひろみちゃんややまさんも負けてはいない。toubiさんも「殺せー、黒を殺せー!」などと狂気の雄たけびをあげている。凄まじいことになってきた。白6と強欲なカカリまで打ってから白8の動き出し…。局面もチャットも大乱戦である。


第4譜・のぶさん絶叫

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├┼┼○┼◎┼┼●○┼┼┤
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├┼┼┼┼○○○●┼┤
○┼┼┼┼┼┼●┼┤
├┼79┼┼┼┼┼┼┼┼┤
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├┼┼●┼○┼┼┼┼┼┤
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第4譜 9手(通算28−36)

 白1。こうツガれてみると、黒の方も白の包囲下にある。「強欲」だった白◎がここにきてきいている。黒は2と薄みを備えざるを得ない。白3と換わって左上はいつのまにか定石型になってしまった。こうなると、黒は中央戦で白を粉砕しなければならない。sabakiが「ここからシノギの展開に持っていけないか」などと無理を言う。もうこうなったら殴り合い以外にない。さもなければ、左辺6とツケてワタるかだが、黒4のとき、白5とすかさずワタリを封じる。さあ、どうする…。
 ここで黒6が思い切った手だった。あくまで乱闘辞さず、である。白7に長考一番・黒8。「うぎゃー!」悲鳴があがる。その主は、なんと極悪軍主将のhappynobuさんだった。友軍の打ち手が次々にとんでもないことをしてくれる、というところか。黒の形は歪みまくっている。しかし、いかにも力戦派好みの展開とも言えた。
 白9。もはやKO決着必至である。


第5譜・happy頭目の秘策

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├○●○93┼┼┼┼●┼┤
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第5譜 9手(通算37−45)

 黒1。とりあえず先手である。白は2と受けざるを得ない。さもなければ黒7に切られて即ツブレである。この黒1はhappy主将の1着で、白2はtoubi主将の応手である。この時点で、「極悪師匠」happynobuにある秘策がひらめいた。
 黒3。sn056jpさんである。いかにもこの人らしい、力強い1手であった。白4と出てから、6とツケる。一見形っぽいが、なんとなく押されている感じだ。
 と、ここで黒7―。happynobuさんの秘策だ。不敵な声が響く…。「toubi封じみつけたり。手抜きできないところを打つ!」さすが極悪軍団の頂点、なんて極悪な発想なんだ…!こうすると、toubiさんはコウダテに受けるような手しか打てず、「正義軍」の戦力は極度にダウンする。白8はやむをえない。2、8と、toubiさんの手番を2手続けて封じたことになる。
 しかし、ここでひろみちゃんの一言―「でも、それだと、のぶさんもそういう手しか打てないんじゃない?」―なんて冷静なんだ…!確かに、toubiさんもコウダテ受けしか打てないが、同時に、この作戦だとhappynobuさんもコウダテみたいな手しか打てなくなる…。
 かくして、happynobuさんの秘策はその弱点をあっさり見抜かれてしまったのであった…。


第6譜・なりふり構わず…

┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐   【参考図】
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├┼○●┼●579●○┼┤  ba○●┼●┼┼
├┼●●┼┼┼●┼●○┼┤  ├●●┼┼┼●
├┼●┼●○○○○○●┼┤  ●┼●○○○
├○●○●●┼┼┼┼●┼┤  ○●○●●┼┼
├┼○○○┼┼┼┼┼┤  ├○○●○┼○
┼●┼┼┼┼●┼┼┤  ├●●○┼┼┼
├┼┼●┼○┼●A┼┼┼┤  ├┼┼●┼○┼●
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第6譜 9手(通算46−54)

 中央は大乱闘…。もはや、ここの戦いで決着がつきそうな局面である。
 チャットもいちだんと激しさを増す。「黒にも眼がないぞー」「正義は勝つ!」「成敗してくれる!」(これってずいぶんな言われよう…)正義軍が勢いづけば、極悪軍も「眼なんかいくらでも作れるぞー!」「皆殺しじゃあ!」と負けていない。
 白1では、2にツイで、中央を捨てて隅を脅かした方が黒は打つ手に悩んだのではないか。黒が隅を活きれば、最後は中央の攻め合いになる。黒は、すかさず2から4で左辺の白を取りきった。続いて、【参考図】白1とツイでダメ1つを頼みに抵抗してみても、黒2以下、6まででオイオトシになる(ちなみに黒aの切りには白bでコウ。結局黒6となる)。これで黒には全滅の不安はなくなった。
 しかし、ここで白5―。かねてからの狙いの1着である。半分でも取り返せば、まだまだ充分争える碁である。黒6を見て、正義軍のhiromistarsさんが長考にはいる。狙っている…。黒の次の手番のsabakiは気が気でない。プレッシャーに耐え切れなくなったsabakiは、ここでついに奥の手を繰り出した。「ひろみちゃんつよい!」必殺・ほめ殺しである。ほめられると弱い、ひろみちゃんの弱点を巧みについた恐るべき秘策である。なりふり構わず、考えつく限りのほめ言葉を並べる。しかし、悲しいかなそこはしょせん悪役、挑発と勝手が違い、sabakiにはほめ言葉の語彙があまりにも少なかった…。白7。「ほめ殺し、不発…」もっともここは、どうやってもなにかありそうなところである。黒8と、ともかくつながって、次の沙汰を待つ…。
 ここで白9が、正義軍無念の敗着となった。


第7譜・大石死す

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├┼┼○┼○┼┼●○●○┤
├┼○┼┼●●●┼●○┼┤
├┼○●┼●○○○●○┼┤
├┼●●┼┼┼●●○┼┤
├┼●┼●○○○○○●┼┤
├○●○●●┼┼┼┼●┼┤
├┼○○●○○┼┼┼┤
├●┼●○┼┼57┼┤
├┼┼●┼○┼●46┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
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第7譜 9手(通算55−63)

 黒1。前譜白9(通算54)では、この点に打つ1手だった。ウッテガエシがあるので、黒は3子をツグよりない。先手で1眼を確保し、前譜Aくらいで、もう1眼はできそうだ。こうなると、これまでの実利がモノを言ってくる。殺しに精力を傾けてきた極悪軍の士気の低下も期待でき、大いに有望だった。実戦では、黒1とツグ余地があった。白の方がダメヅマリで5子取れない(実はsabakiもこれは見損じていて、黒は1でなく3子の方をツギ、後手ながら1眼確保されたと思っていた)。これは白苦しい。
 右下隅、白2から手をつけ、マギレを求めていったが、黒は隅を譲っても大石を仕留めることに専念する構えである。
 黒3以下、ひたすら中央のたしになることを避ける。
 ただし、黒5は、ついで白に7と打たれるとマギレる可能性があり、危険だった。その上にオサエる手が次に黒8の両アタリを見ているので悪くない、とふんだのだが、順番で行くとそこでtoubiさんの番になる…。正義軍にチャンスを与えかねない手だったのだ…。
 しかし、実戦は白6、黒7となって白8(toubiさんの手番!)が省けず、黒9に切りが入って万事休した。
 中央の大石には1眼の余地もなく、大石死す、である。


第8譜・悪は勝つ

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├┼┼○┼○┼┼●○●○┤
├┼○┼┼●●●●○┼┤
├┼○●┼●○○○●○┼┤
├┼●●┼┼●●●○┼┤
├┼●┼●○○○○○●┼┤
├○●○●●┼┼┼┼●┼┤
├┼○○●○○○┼●┼┼┤
├●┼●○┼┼●●●○
├┼┼●┼○┼●○○●
├┼┼┼┼1065937
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第8譜 9手(通算64−73)

 白3以下、白9まで、右下隅で白は活きたが、黒も8で活きている。黒10のハイを見て、toubi主将、「投了していいですか?」と正義軍メンバーに確認する。メンバー構成から言って、投了は主将の専権事項みたいなものだが、あくまで合意の下に決定する…いかにもtoubiさんらしい、紳士的な態度である。yamasakiさん、hiromistarsさんとも異議なく、正義軍、無念の投了である。
 なお、リベンジに燃える正義軍は、その後作戦会議(なんと、happynobuさんやsn056jpさんが侵入していくと、マジで追い出されてしまうそうなのだ!)を開いて「打倒・極悪軍」をはかっているそうである。それに対し、sabakiは、「小賢しいことよ。しかし、しょせん、最後は悪が勝つ。フハハハハハハ!」と、嘲笑しているようだ(未確認情報)。
 ついに極悪軍に制覇されてしまったyahoo碁界…。そこはもはや、暗黒の支配する世界と化している。はたして、正義が光を取り戻す日は来るのだろうか?(つづく)


第9譜・特別サービス


 

 今回は、特別サービスで「総譜」をつけてしまう。ヽ(^o^)ノ
  ちょっと見にくいが、ぜひ並べてほしい。
 それぞれの着番は、以下のとおりである。
  とくに両主将の手は味わい深い。高段者の技を堪能してほしい。

 手数を6で割ったあまりが1―happynobu
 〃           2―toubi
 〃           3―sn056jp
 〃           4―hiromistars
 〃           5―the_great_sabaki
 〃           6―yamasaki_k

 の順になっている。

 なお、最後に、実際の対局時には別ハンドルだった人もいるが、そのHNでここに表示すると、かえってお忍びハンドルを公開する結果になると判断したので、本来のハンドルでの表示にしておいたことをここで断っておく。

73手完 黒中押し勝ち
 
 
 
 
 

第9譜 総譜(1−73)
 
 


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