第1譜・秘密会議
1999年10月22日 於「yahoo交流ラウンジ」
黒 正義軍(hiromistars・toubi・yamasaki_k)…5目半コミ出し
白 極悪軍(happynobu・sn056jp・the_great_sabaki)
※両チームとも、着手順にメンバー記載
┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼4┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼1┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼7┼┼┼┼8┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼9┼┼┼┤
├┼2┼5┼┼6┼3┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
└┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┘
第1譜 9手(通算1−9)
悪夢の10・10から、2週間足らず。正義軍が、極悪軍団にリベンジを挑んだ。先立って、正義軍は秘密作戦会議を開いていたという。なんと、sabakiやsn056jpはもとより、happynobuさんまでをも、侵入していくと追い出してしまうのだ。これにはさすがに驚いたが、しかしそんなことでひるむ極悪軍団ではない。「ふふふふ。愚かなことを!」「返り討ちですぜ、お頭」などと、余裕の構えで迎え撃つ。
正義軍は、順番を組み替えて臨んできた。これに対して極悪軍団は小細工無用とばかり、前回同様の布陣で迎撃だ。
局面、白6は図に乗りすぎたか。自らハサミ返される位置に石を置く。しかし、白8とまたもハサんで乱戦指向である。
第2譜・変調yahooサーバー
┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼○┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼14┼●┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼713┼┼┤
├┼┼┼●┼┼┼4○┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼●9┼┼┤
├┼○┼●┼┼○10●3┼┤
├┼┼┼15┼┼┼┼21┼┤
├┼┼┼┼┼┼┼65811┤
└┴┴┴┴┴┴┴┴12┴┴┘
第2譜 15手(通算10−24)
この日は、いつもにも増してyahooのサーバーの調子がおかしかった。メンバーが次から次へと落ちるのである。ひろみちゃん、yamasakiさんのみならず、あまり落ちないhappynobuさんや私も、ほとんど順繰りに落ちるのだ。これには本当に参った。そのうちtoubiさんが、落ちて戻ってきたhappynobuさんに対して、「おとなしく落ちていればいいものを…」などと暴言(?)を吐く。怖すぎる…。チャットの極悪度なら、間違いなくtoubiさんがナンバーワンである。繰り返して言うが、toubiさんを生で見た(なんだか芸能人みたいな扱い…)人ならわかると思うが、間違ってもこんなこと口走りそうもない人である。そんな人がどうしてこうも極悪なセリフを思いつくのだろうか。
局面は、右下隅で接触戦が始まった。黒4に白5は、逆にハネられるのを嫌ったカラい打ち方。黒6オサエに白7はすぐ13に切られても困ったのではないか。実戦は黒8とカミ取ったので、白9、11と2つキカすことができ、白持ち直した感がある。白13ツギが立派な姿である。
黒は14と右上を守る。ここで白は15と下辺の地を値切りにいった。
第3譜・狙い
┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
├┼┼┼┼┼┼6┼15┼┼┤ 【参考図1】 【参考図2】
├5┼○┼4┼┼┼┼┼┼┤ ┼┼┼●┤ ┼┼┼●┤
├┼┼┼┼┼┼●16●┼┼┤ ┼┼┼┼┤ ┼┼┼┼┤
├┼3┼┼┼┼┼14┼┼1┤ ○○┼○┤ ○○┼○1
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤ ●○3●┤ ●○○●2
├┼┼┼┼┼┼┼○○┼8┤ ●○2┼4 ●○●a●
├┼17┼●┼┼┼●○┼7┤ ●●○●┤ ●●○●┤
├┼┼┼┼┼┼┼●○1210┤ ┼●○1┤ ┼●○○4
├┼○2●┼┼○●●○9┤ ●┼●○┤ ●┼●○5
├┼┼┼○┼┼┼┼●○11┤ ┴●┴┴┘ ┴●63┘
├┼┼┼┼┼┼┼●┼●○13
└┴┴┴┴┴┴┴┴●┴┴┘
第3譜 17手(通算25−41)
黒は下辺に手を抜き、右上1と打った。自らの安定をはかりつつ、狙いのある手である。しかし、白は大した手はないと見て2と左下を連打する。これで下辺の黒地は小さくなった。黒は、左上に3とカカり、さらに5と根拠を脅かす。白は4、6と打って右上をうかがいつつオサマる。
ここで黒は15くらいに守って引き続き上辺の白に圧力をかけるくらいかと思われたが、黒7が狙いの一撃だった。白は8とさえぎる。続く黒9が7とセットの手筋で、黒は対応に悩むこととなった。【参考図1】白1が成立するかどうか。黒2は当然。対して、白3の時、黒2の右にツイでくれれば話は簡単(攻め合い白1手勝ち)であるが、そうはいかない。黒4とコウに粘る手があるのだ。白いったんはコウを取るが、黒コウダテ後、また取り返されるとワタリがあるので【参考図2】白1が省けない。黒2に白3とサガって、以下「両コウ」となるのだが、aのところのコウを取ってツグことができるので、ほとんど手なしに近い。
しかし、この変化、大変ややこしく、また、次の手番も自分が打てるわけではない。そこで白は簡明を期して実戦譜10と譲歩した。黒は11、13と実利を得てポイントを稼いだ。眼1つとなった白は、14とノゾき、左方へ脱出をはかる。黒15と自重し(この手で16ツギは将来白三々入りで根こそぎ攻められる危険がある)、白も16となって安心した。
黒も17とヒラいて仕切り直しである。
第4譜・よけいな手
┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
├┼┼┼┼┼15○┼●┼┼┤
├●┼○┼○14┼┼┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼●○●21┼┤
├┼●┼4┼┼┼○┼┼●┤
├3┼┼65┼┼┼┼┼┼┤
├11911318┼┼○○┼○┤
107●2●20┼┼●○┼●┤
├812┼17┼┼┼●○○○┤
├┼○○●19┼○●●○●┤
├┼┼┼○16┼┼┼●○●┤
├┼┼┼┼┼┼┼●┼●○●
└┴┴┴┴┴┴┴┴●┴┴┘
第4譜 21手(通算42−61)
長手数になるが、ここがひとつのポイントであり、一連の手順なので辛抱いただきたい。
白1はよけいな手だった。黒2の一手に、白3とするしか後続手段がないが、ここで黒4とハズしたのがうまい手で、白はあとの打ち方に苦しむことになった。白5に黒6の逆襲を食い、まるまる持ち込みの危機に瀕したのである。白7、9と形を作ってから13以下の突破をはかるが、黒は巧妙にも14と「時間ツナギ」(「手番ツナギ」?)を打って主将の手番に回した。toubi主将の一手は、16のオサエ。なるほどと思わせる手である。難しいところでは、ツナギの手を打って主将に回す…連碁のひとつのコツである。正義軍もだてに作戦を練っていたのではなかった。白17、19はやむをえない。黒は18から20とがっちり左辺を取り込み、優勢を確立した。
白は21―。形勢不利と見て怒りの一撃である。
第5譜・反則
┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
├┼┼┼┼┼○○┼●┼┼┤
├●┼○┼○●┼453┼┤
├┼┼┼┼┼┼●○●1┼┤
├┼●┼●┼┼7○2┼●┤
├○┼┼●○┼96┼┼┼┤
├○○○○●┼┼○○┼○┤
●○●●●●┼13●○┼●┤
├●●┼○┼14┼●○○○┤
├11○○┼○┼○●●○●┤
├┼┼┼○●┼┼┼●○●┤
├┼812┼10┼┼●┼●○●
└┴┴┴┴┴┴┴┴●┴┴┘
第5譜 14手(通算62−75)
白1(再掲)の一撃に、黒2は最強の応手。右辺の白への絡みを見ている。しかし、白3に黒4としたため、白5に突っ込まれて一気に苦しくなった。黒6とアテてはみたものの、ここはうまくいきそうもない。左辺の失点を挽回された格好である。
黒は、8と左下隅を脅かす勝負手を放った。
しかし、じつはこのあたりで異変が生じていた。正義軍の手番がなんだかおかしいのだ。白が9と右上を取りきり、シノギ勝負とした時に、さらに左下10はtoubi主将。黒8、10はいずれもtoubiさんではなかったのか。しかし誰も気がつかない。異変に気づいたのは、happynobu頭目。黒14をtoubiさんが打ったのを見て、「あれ?おかしい」。次の瞬間「わーい、反則負けだー!」の声が極悪軍団からいっせいにあがる(せこい…)。しかし、後日よく見ると、sabakiが提唱したルールでは、「必ず3人が交代に打つこと」も含めて、ルール違反はワンペナ(1目のペナルティ)である。したがって、「反則負け」は成立しない。
実戦は、hiromistars選手が「次に私が打てば文句ないでしょ!」と、なんだかよくわからない論法で強引に対局をすすめ、誰も文句を言わずなんとなく納得してしまった。まあ、それしかしょうがなかったであろう。じつはこのあたり、極悪軍団敗色濃かったのであるが、happynobu主将は強気である。「ふっ。反則など取らなくても、碁で勝てるわ!」sabakiは内心「そうかなあ」と思っていた。しかし、次譜、とんでもない大事件が起きるのである。
第6譜・あっけない幕切れ
┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
├┼┼┼┼┼○○┼●┼┼┤ 【参考図】
├●┼○┼○●┼●○○┼┤ ○┼○●┼┼┼┤
├┼┼┼┼┼┼●○●○┼┤ ●┼┼○○┼○┤
├2●┼●1┼○○●┼●┤ ●┼○●○┼●┤
├○┼┼●○┼○●┼┼┼┤ ┼●○●○○○┤
├○○○○●4┼○○┼○┤ ○1◎●●○●イ
●○●●●●┼○●○┼●┤ ●324●○●┤
├●●┼○┼●3●○○○┤ ●┼┼●5●○●
├○○○┼○5○●●○●┤ ┴┴┴┴●┴6┘
├┼┼┼○●┼┼┼●○●┤
├┼●●A●┼┼●┼●○●
└┴┴┴┴┴┴┴┴●┴┴┘
第6譜 5手(通算76−80)
白1に黒2は必要。このあたり、攻め合いの機微を慎重に読んでいる。白3は、じつは恐ろしい狙いを秘めている。【参考図】白◎に対して、黒1ならば、白2と出る。おそらく黒は左辺の攻め合いを避けて3のツギだろうから、そこで白4と突っ込み、黒5ツギに白6と隅をノビ出す。これに対して黒は白の2子を取ることができない。黒6の左に取れば白2の下(アタリ!)、黒6の右2子取り、白イで隅の黒は一眼である。最後は下辺をワタるコウに望みをかけるしかないが、これは大コウである。これが最後の決戦になるはずだった。
しかるに、黒4。なんとなく、絶対のききだと思って、つい出てしまったのだろう。この手が、正義軍痛恨の敗着となった。むろん受けるわけもなく、タダで白5とツイではそれまでである。続けて、黒が4の右に切っても、A以下で問題にならない。
toubi主将、無念の投了である。あっけない幕切れだった。
かくして極悪軍団、見事正義軍のリベンジを返り討ちにしたが、その内容は薄氷といってよいものであった。
80手完 白中押し勝ち