Feelin’ Summer (1979.6.1)
CD化されたのは比較的最近である。
この人の夏のアルバムは、本当にノっている感じがする。「水着にならなくても夏女」・太田裕美の面目躍如といったところである。
1曲目、「掌の夏」。別に声を張り上げるわけでもなく、自然体であるが、夏の気分が漂ってくる。聴いていてわくわくしてくる曲である。このアルバムでは一番のおすすめであろう。
3曲目の「乱反射(ハレーション)」は、イントロに雑音を起用した、やや意表を突いた作りになっている。4、5、6曲目と穏やかな、もしくは平和な曲が続いたかと思いきや、能天気な「熱風」が出てきて変化をつけている。聴いているだけで楽しくなってくる、彼女の路線から考えると異色の1曲である。「午後プレ」で一休みした後、「SHOWER GIRL」の詞がドキッとさせる。そして最後は「星がたり」。コンサートだったらペンライトでも振りたくなる。しっかり締めている感じだ。この曲は、少女漫画『星の瞳のシルエット』(柊あおい)のテーマとなったことで有名である。私もこの漫画は読んだが、この曲からあんなストーリーを考えてしまうなんて、漫画家という人種は途方もない想像力の持ち主だなあと、あらためて感心してしまった。
と、こんな具合に、変化にも富んだ秀作LPである。
うぐいす氏のHP・『研究委員会』でCD復刻運動が盛りあがる中、新規復刻5CDの1つとして発売されたが、これを喜ぶ声に、「この夏はFSだ」というのがあったが、まさに私の夏もそうなった感がある。
ジャケットについては、すでに他のところでも書いたが、CD版ではケースの内側に来る部分の写真が好きだ。「可愛い」という言葉はこの人のためにある、と思ってしまう。同じ衣装の小さな写真がLP版歌詞カードに数ポーズある。