I do, You do (1983.10.1)
テクノポップ・アルバムの第1弾。と偉そうに書いたが、実は私は、どういうものが「テクノポップ」なのか知らない。なんとなく雰囲気で「ああ、こういうのをそういうのか」と思って「うぐいす商会」氏の真似をしているだけである。
ただ、このアルバムが『Far East』以前と一線を画しているのは、あまりにもハッキリしている。
まず、LPのジャケットのフレーズが、「やりたいことやったら、こんなに気持ちいい」である。可愛さを演じることを完全に放棄しているわけだ。太田裕美に女性の可愛さの象徴を見出していた私にとっては、大変ショックであったが、しかし、買ってみて「面白い」LPであったので、すぐに受け入れることができた。ジャケットにあるもう一つのフレーズがふるっていて、「少年ぽさを残した女・太田裕美」ときた。その当時は「そうかな」としか思わなかったのだろうが、先日ジャケットを見直してみてこのフレーズに気づき、「言われてみればそういう気もする」と思った。そういえば私の知人に、「少年」と呼ばれている女性がいる。可愛い娘なのだが、太田裕美よりもはるかに少年ぽい(ちなみに、彼女の名前も「弘美」といい、字は太田裕美の本名と同じである。余談)。
さて、曲の方だが、それまでの詞のわかりやすさから一変して、一気に詞が難解になるのである。『満月の夜、君んちへ行ったよ』もシュールな感じがするが、これなどはまだ内容がわかる方である。曲調もそれまでのアルバムでは完全に遊び系のものが主流となる。『お墓通りあたり』の木魚には度肝を抜かれたものである。
好みの曲をあげれば、『移り気なマイ・ボーイ』『ロンリィ・ピーポー3』『33回転のパーティ』であろうか。『マイ・ボーイ』はGJP2枚組ベストCDに収録されているので知っている人も多いと思うが、『ロンピ3』もなかなか調子のいい曲である。『33回転』はしんみりとさせる曲だ。
このアルバムは、『リトコン』と好対照で、戸外でウォークマンのボリュームをガンガンに上げて(人に迷惑にならない程度に)聴くのに絶好である。